22
2026.08
製造DX担当者向け/『ツール選定』の前に考えること

2026年8月21日公開
「DXを進めたいが、ツールも支援企業も多すぎて、何を基準に選べばいいか分からない」
——製造業DXの担当者から、こうした声をよく聞きます。展示会やニュースでは次々に新しいツールやサービスが紹介され、情報を集めれば集めるほど選択肢が増え、かえって決められなくなってしまうことも少なくありません。
ものづくり新聞「ものづくり新聞製造業DX事例分析」シリーズでは、製造業DX事例データベースをもとに、技術・ベンダーの動向を継続的に分析してきました。今回は、その中から「選定の判断材料」につながる4本の分析、vol.03「DX支援企業の選び方」、vol.05「実際に使われているツール」、vol.06「企業・技術の組み合わせ」、vol.11「2026年上期のトレンド」を、ツールやパートナーを選ぶ立場の方に向けて整理しました。
これから初めてDXツールや支援企業を検討する方はもちろん、すでに何か導入しているが「この選び方で合っているのか」と不安を感じている方にも、判断の物差しのひとつとして参考にしていただける内容です。展示会やセミナーで話を聞くたびに検討先が増えてしまう、という方にも、いったん立ち止まって整理する材料になるはずです。
誰に頼ればいいか——支援企業選びの物差し(vol.03)
2026年7月23日配信のvol.03は、3,815件の事例をもとに、DXを支援している日本企業の登場傾向を分析したものです。もっとも多く登場したのはNEC(173件)、次いで日立製作所(87件)、富士通(59件)、NTTグループ(57件)、オムロン(52件)、三菱電機(39件)でした。
これらの企業は、総合IT・SI系(NEC、日立製作所、富士通など)、FA・制御・産業機器系(オムロン、三菱電機、横河電機など)、通信・クラウド・インフラ系(NTTグループなど)、コンサル・業務改革系(アビームコンサルティングなど)の4タイプに整理できます。
「どこに相談すればいいか分からない」という状態から抜け出す第一歩は、自社のDXテーマがIT寄りか、OT(現場設備)寄りか、業務改革寄りかを見極めることです。相談先の看板の大きさよりも、自社の課題がどのタイプに近いかで探した方が、選定の的が絞りやすくなります。
現場設備や制御システムを理解している企業と、経営改革そのものを担う企業とでは、得意とする領域がそもそも異なります。「大手だから」「有名だから」という基準で選んでしまうと、自社が本当に必要としている支援と噛み合わないケースも出てきます。
実際に使われているのは何か——流行りと実態の違い(vol.05)
2026年7月25日配信のvol.05は、4,506件の事例に登場するツール・プラットフォーム名を集計したものです。もっとも多く登場したのはNVIDIA関連技術(205件)、次いでMicrosoft Azure/Azure OpenAI(180件)、ChatGPT/OpenAI(164件)、NVIDIA Omniverse(119件)、AWS(87件)、Microsoft Copilot(79件)、Google Cloud(68件)、SAP S/4HANA(61件)、Siemens Xcelerator(40件)、Gemini(34件)と続きます。
話題性の高さと実際の採用件数は必ずしも一致しません。ニュースで頻繁に見かける技術と、事例として積み上がっている技術を見比べることで、「今、実際に選ばれているもの」を確認できます。
大手はどう組み合わせているか——単独導入ではない実態(vol.06)
2026年7月30日配信のvol.06は、同じ4,506件のデータを「企業名」の切り口で分析したものです。Microsoft(329件)、NVIDIA(202件)、AWS(169件)、SAP(143件)、Siemens(138件)といったグローバル企業に加え、日立製作所(72件)、NEC(55件)、富士通(55件)、オムロン(51件)など国内企業も上位に入りました。
技術領域別では、AI・機械学習が2,416件でもっとも多く、ロボット・自動化1,299件、IoT・センサー/エッジ1,200件、クラウド基盤1,101件、データ基盤・分析/BI1,045件、生成AI・LLM698件と続きます。一社のツールだけで完結させるのではなく、クラウド企業・産業ソフトウェア企業・制御機器企業を組み合わせて使っている事例が多いことが分かります。「一社に決めなければ」という思い込みを外し、複数のベンダーをどう組み合わせるかという視点で検討する方が、実態に近い選び方になりそうです。
トレンド——直近半年の動き(vol.11)
2026年8月6日配信のvol.11は、2026年1月から6月に公開された515件(日本194件、海外321件)を対象に、直近半年の動向を整理したものです。DX領域では生産・製造が277件でもっとも多く、技術テーマではAI・機械学習が450件と突出し、ロボット・自動化244件、クラウド・データ基盤/BI207件、生成AI・LLM157件、IoT・センサー/エッジ151件と続きます。月別では4月が140件ともっとも多く公開されました。
生産・製造領域が引き続き中心である一方、AI・機械学習や生成AIといったテーマの比重が高まっていることが、この半年の傾向として読み取れます。
まとめ—「ツール選定」の前に、考えること
4つの号を通じて共通するのは、「話題の技術を単体で入れれば進む」という話ではないという点です。ツール・プラットフォーム(vol.05)も、支援企業(vol.03)も、複数ベンダーの組み合わせ(vol.06)も、その前提には「自社の課題はどこにあるか」という整理が必要です。
まず自社の課題が、IT寄りか、OT寄りか、業務改革寄りかを整理すること。次に、話題性ではなく実際の採用実績を確認すること。そして、一社で完結させず、どう組み合わせるかを検討すること。この順番を踏まずに最新ツールから入ると、導入したものの使いこなせない、というつまずきが起きやすくなります。各号で紹介している事例の詳細は、プレスリリース本文で確認できます。
本記事で紹介した各号の詳細
・vol.03「製造業がDX支援企業を選ぶ時のコツは? DX戦略や業務改革で力を発揮する『日系DX支援企業・日系コンサル企業』」/2026年7月23日配信
・vol.05「製造業DXは『AI・クラウド・データ基盤』の組み合わせへ──4,506件の事例から見えた技術スタックの現在地」/2026年7月25日配信
・vol.06「NVIDIA、Microsoft、Google Cloud…製造業DXで存在感を高める企業・技術を4,506件から分析」/2026年7月30日配信
・vol.11「2026年上期製造業DX事例を分析!AI・機械学習、デジタルツイン、ロボット・自動化、生成AIが主要テーマに」/2026年8月6日配信
