ヒトを訪ねて
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2025.02
ネオンカラーで生まれ変わった新しい友禅和紙。京都の和文具メーカー「尚雅堂」がつくる、ちいさなしあわせ

2025年02月18日 公開

編集部が向かったのは、京都府京都市右京区太秦門田町です。和文具メーカーの尚雅堂(しょうがどう)に伺いました。
今回注目したのは、尚雅堂のネオンカラーの友禅和紙です。友禅和紙の伝統柄と、現代的なネオンカラーの組み合わせに、一目見て惹かれました。

*提供:尚雅堂
このネオンカラーの友禅和紙を使用したご朱印帳などの商品が、今若い女性や外国人を中心に人気なんだそうです。

ネオンカラーの友禅和紙の誕生には、一体どんなストーリーや思いが隠されているのでしょうか?2代目代表の松尾 安浩(まつお やすひろ)さんにお話を聞いてみたいと思います!
父から継いだ尚雅堂。時代の変化に合わせた新たなものづくりに挑戦

ーー松尾さん、本日はよろしくお願いします。まずは、尚雅堂の歴史や事業内容について教えてください。
松尾さん:「尚雅堂は父が1964年に創業した会社です。去年が創業60周年でした。父は色紙短冊・和本の卸問屋として創業しました。しかし、私が継いだころは、直販でものが買えるサービスが台頭し、学校前の小さな文具店などの小売店舗がなくなりつつある時代でした。
主力商品の色紙短冊に代わる新しいものを作っていかなければと、試行錯誤して答えを模索するところから始まりました。」
配色にこだわった友禅和紙をつくる

ーーそうだったのですね。具体的にどんな試行錯誤をされたのですか?
松尾さん:「商品の品質をアピールしたり、値段を変える努力をしたりしてみたのですが、成果はなかなか出ませんでした。品質や値段以外のことに着目したほうがいいのかもしれないと思いました。
試行錯誤してきた中で気づいたのが、やはりパッと見でのかわいさだったり、インパクトがないと手に取ってもらえないんじゃないかということです。
そこで8年ほど前、友禅和紙はすでに少し取り扱っていたのですが、新しく配色を変えて提案することにしたんです。」

*提供:尚雅堂
松尾さん:「配色をデザイナーと一緒にブラッシュアップし、2017年に友禅和紙を使った御朱印帖を作りました。ちょうど御朱印帖が流行りはじめた時期でもあり、順調に売り上げが伸びていきました。」
ファッション業界の動向からネオンカラーの着想を得た

ーーそこからネオンカラーの友禅和紙で商品を作られたのは、どういったきっかけからだったのでしょうか?
松尾さん:「同じ頃、ファッション業界ではアクセントとして蛍光色を使うのがトレンドになりかけていたのを見ました。かわいいだけではなく、洗練されたイメージがあって、どこか無国籍な感じもあっていいなと思っていたんです。
そこに着目して、自分たちが作る和紙にもその要素をいれられないか?と考えたのがきっかけです。
文具女子博というイベントでそのネオンカラーの友禅和紙を試しに置いてみたところ、それが飛ぶように売れたんです。遠くから見ても目立つように壁に貼ったりもしたので、インパクトもあったんだと思います。」
ーー文具女子博、行ったことがあるのですが、かなり盛り上がっていました。大きな袋に数え切れないほど文具を詰め込んだ方がたくさんいて、来場者の文具愛と会場の熱気に圧倒されたのを覚えています。ターゲットとなる方が集まるそういった場所で、まずは商品の反応を見てみるというのはいいアイデアですね。
変えるべきことと守るべきことは何か?答えを探し続ける

ーーネオンカラーの友禅和紙ができるまでのストーリーを聞かせていただきありがとうございます。今回改めてその過程を振り返ってみて、感じたことはありますか?
松尾さん:「変わらないままでいることは、その長い歴史や伝統から守られているような気持ちにもなります。もちろん、そのままの姿を残すというのも、一つの選択肢だと思います。しかし、ビジネスとして成り立たせていくのならば、覚悟を持ち、変化していく部分を見極めなければならないと考えています。
ものづくりにおいて、ゼロから何かを生み出して大きく変えることはなかなか難しいけれど、既存の意匠を少しずつ変えることは、ちょっとの視点を変えることで実現できるんです。
その結果、若い人や海外の人にも注目してもらえるようになりました。現在は海外の文具店や雑貨店でも多く取り扱いいただいています。アジアだと中国、台湾。ヨーロッパだとイギリス、フランスなどの文具店や日本文化を発信するようなお店にも置いてもらっています。」
ーー色をネオンカラーに変えるということ自体は難しくなくとも、そのアイデアにたどり着くためには、松尾さんの答えを模索し続ける姿勢や、幅広い業界にアンテナを張り、自分の作るものと関連づけることができる発想力があったからこそだったのだなと気づきました。
ちいさなしあわせが続いていくように。ワクワクや癒しになるものを作りたい

*提供:尚雅堂
ーー最後に、最近挑戦されていることや今後やってみたいことがあれば教えてください。
松尾さん:「最近はスポーツチームやアニメキャラクターとのコラボ商品の制作依頼もいただくことが増えてきました。友禅和紙の魅力が広まり、認められてきたことでそういったご依頼をいただけるようになってきたのかなと嬉しくなります。
そもそも、和紙は生活必需品ではありません。また、購入しても、もったいなくて使われずにとっておくというお客さまもいます。確かに、和紙によって直接生活が便利になったり、課題を解決したりすることはあまりないかもしれません。
でも、お気に入りの紙製品がそばにあることで気持ちがワクワクしたり、癒されたり。そうやって生活に介在し、人の感性に触れる場所で、ちょっと豊かな生活の一部になれたら、小さな幸せが続いていくと信じています。私たちは、そんな商品をこれからも作っていきたいです。」
尚雅堂 公式サイト
Japanese paper specialty store|Shogado(Shikishi , Shuincho , Pochibukuro , etc)
編集後記
友禅和紙の柄はそのままに、色だけを現代に受け入れられる形に変えているという点が、このネオンカラーの友禅和紙の魅力だと思います。伝統産業の変えるべきところは勇気を出して変わり、変えてはいけない部分は守り続ける。変えてはいけないことと、変わっていくべきことにはどんな違いがあるのか、他のものづくりに関わっている皆さんのお考えもお聞きしてみたいと思いました。(ものづくり新聞記者 佐藤日向子)
