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2025.04

ものづくり新聞とは?編集長メッセージ

2025年4月25日 公開

ものづくり新聞は、「ものづくりを通して好奇心と喜びでワクワクし続ける社会の実現」を目指すウェブメディアとして設立され、2025年で4周年(2025年4月現在)を迎えました。

今回は、改めて私たちについてご紹介するべく、ものづくり新聞を運営する編集長・伊藤宗寿(いとうむねひさ)に、メディアへの想いやこれからの展望についてインタビューしました。

なぜ「ものづくり」なのか?

ーーまずはじめに「ものづくり」を伊藤さんはどのように捉えているのでしょうか?

伊藤:私は、物理的にものを作り出し、売り出すまでのすべてのプロセスや活動を「ものづくり」と考えています。

例えば、大手の製造業が家電製品や自動車、産業機械、原子炉、発電所などを作ることもものづくりです。一方で、町工場の人が金属を加工して部品を作ったり、板金部品や樹脂部品を製造したり、木を削って器を仕上げたりする行為も、すべてものづくりだと捉えています。

上記も踏まえて産業分類で「製造業」と名付けられるすべての業種や業界を「ものづくり」と考えています。大企業の大量生産だけでなく、手作業や手づくりで作られるもの、たとえばクラフトのように個人が手作業で制作するものも、ものづくりに分類されると捉えています。

ーー伊藤さんはなぜ「ものづくり」に焦点を当てて、ものづくり新聞を設立したのでしょうか?

伊藤:私がものづくりに焦点を当てたのは、日本がものづくり大国であり、その文化が世界的に見ても非常に特徴的だと感じたからです。この素晴らしい文化を応援し、未来につなげていきたい。そんな想いから、ものづくり新聞を始めました。

少し大きな話になりますが、人間の進化の歴史には、「もの」を作り出す技術を発展させ、自分たちにとって便利なものを発明してきた過程があります。それは現代においても変わらない事実だと思います。

その中で特に日本人は、縄文時代から土器を作ったり、鉄を加工したりと、時代の変遷とともに多くのものを丁寧に作り上げることで文化を発展させてきました。

近代においては、産業の振興を通じて国力を強化してきた背景もあり、日本は多様なものづくりを行い、さまざまな種類のものづくりを国内で展開する、珍しい国の一つだと感じています。その文化を応援したいという気持ちを込めて、ものづくりに焦点を当てたメディア運営を思い描いていました。

私はものづくり新聞の立ち上げ前から、特に大手製造業の業務支援に携わってきました。その仕事を通じて、「やはりものづくりは大切だ」と強く実感する一方で、ものづくりの細かな技術や職人が持つスキルが業界内でほとんど共有されていないことに課題を感じていました。

製造業の方々へ役に立つ情報を

製造業の中身は、その業界に詳しい人以外には知られていないことや、触れる機会がないことが山ほどあり、企業の中や伝統工芸の工房の中で、長年培われ伝承されてきた技術が数多く存在します。

これらの技術はなかなか表に出てきません。その背景には、自社のノウハウが奪われるリスクや、個人の独自性を守りたいといった考えがあり、事例として広めることへの不信感があるからだと考えます。そのため、たとえば自社の課題を改善するための事例を探しても、見つからないことが多々あります。

しかし、現代の日本はそうした状況を続けられる時代ではないと感じています。情報を共有することが当たり前となり、改善のための工夫があるなら、みんなで共有しながらものづくりの文化をさらに発展させていくべき時代だと考えます。

製造業向けのウェブメディアは扱おうと考えたのは製造業の方々の工夫や、取り組み事例を他の製造業の方々をはじめとした皆さんに伝えていくことで課題の改善につながると思ったからです。

ものづくり新聞の方向性の変化

ーー「ものづくり新聞」は昨年で4周年を迎え、ホームページもリニューアルされたかと思うのですが、当初からのターゲットや方向性は変わってきたのでしょうか?

伊藤:始めた当初は、製造業における工夫や改善を多くの人に知ってもらい、共有したいという意図があったため、主にITを活用した改善に取り組んでいる方を取材対象としていました。

その後、中小製造業や町工場の方々を取材するようになり、同じように改善事例を取材していましたが、次第に事例そのものよりも、携わる人々の魅力に気づくようになりました。そのため、取材記事は徐々に「人」にフォーカスした内容へと変化していきました。それに伴い、途中から記事のトップページも、取材した人を前面に押し出すスタイルにシフトしています。

「町工場が挑むB2C」シリーズ

そんな折に始まったのが、普段は下請け業務を行う町工場が消費者向けに製品を作る企画「町工場が挑むB2C」です。普段の業務とは異なるターゲットに向けた製品アイデアや、なぜその挑戦をしようと思ったのかなど、人に焦点を当てた記事を執筆していきました。

紙版「ものづくり新聞」

その頃、紙版の「ものづくり新聞」の出版にも挑戦しました。紙版では、町工場のユニークな取り組みや町工場のランチ特集など、町工場に深く迫るメディアへと変化していきました。

枠組みの広がり

IT系、中小企業、町工場と、業務改善から人に焦点を当てた記事へと移行する中で、結果的にどの分野の方をターゲットにしても面白さを感じるようになりました。そのため、特定の分野に絞らず、人をベースにした取材を続けていくことにしました。

その頃の例の一つとして、山形県河北町で日本酒づくりに挑戦する高校生を取材しました。この時点で、もはや町工場や伝統工芸といった枠組みを超えた内容になってきました。

その後、「ものづくり新聞」の方針を見直し、記者の関心に委ねる形へと変更していきました。今では、製造業の中でもゲームのボタンに関する記事があったり、伝統工芸に関する記事があったり、繊維にまつわる記事があったりと、ジャンルが多様化してきています。

製造業に興味ある人すべてに読んで欲しい

ーー「ものづくり新聞」の体制や方向性も変化してきたかと思うのですが、現在はどのような読者に読んでいただきたいとお考えでしょうか?

これまでと同様に、製造業の方々に事例の一つとして参考にしていただきたいと思っています。また、これまでの取材を通じて、人材不足の問題がどの業種にも共通する課題であることがわかりました。そのため、これから製造業やものづくりに少しでも興味を持つ方々に、ぜひ読んでいただきたいと考えています。

今後のものづくり新聞

ーー今後ものづくり新聞として実現したいこと、今後の計画があれば教えてください。

これまで「ものづくり新聞」は、主に伝統工芸の職人や町工場の職人にインタビューして記事化すること、またDX関連のイベントを開催してきました。

今後は、「ものづくり新聞」が、「2050年のものづくりがどうあるべきか」を発信したいと考えています。日本のものづくりや世界のものづくりに対する私たちなりの提案を提示し、2050年に向けたビジョンを伝えていきたいです。そのために、既にこうした取り組みを進めている町工場や伝統工芸の職人を紹介しながら、未来のものづくり像を発信していければと思っています。

現在、日本だけでなく世界的に製造業を取り巻く環境は、非常に不透明な状況が続いています。 日本の多くの製造業が工場を海外に移転しています。このような状況下で、国内の製造業が存続できるのかが懸念されています。

一方で、アメリカの政権交代による関税の変更や世界情勢の変化により、これまでアメリカに輸出していた製品の多くが輸出しにくい状況が予想されています。市場環境が日々変化する中、「2050年の日本の製造業やものづくりをどうしたいのか」という明確な意志を、製造業に携わる方々が持ち、その実現に向けて行動しなければ、日本の製造業は衰退してしまうのではないかと危機感を抱いています。

また、日本の製造業が抱える大きな課題の一つに、後継者不足があります。若手の採用が難しかったりと、人材を増やしにくい状況に陥っています。

その結果、少ない人数で、ものづくりの生産から購買、流通、販売に至る一連のプロセスを対応せざるを得ず、新商品の企画にリソースを割く余裕がありません。ITを活用したり業務を効率化しながら、どうやって業務を継続していくのかを考えていかなければなりません。

一方で、日本をはじめ、世界的に消費者の需要は多様化しています。かつては大量生産した製品を世界に供給すれば売れた時代でしたが、消費者の趣味や嗜好、価値観が多様化したことで、こうしたモデルでは対応しきれない時代へと変化しています。

このような状況下では、中国や東南アジアでの大量生産に依存する従来のモデルから、消費地に近い場所で生産を行い、個々の消費者のニーズにきめ細かく応えるものづくりが求められています。

観光や販売事業など多角化する製造業に

今後は、製造業も「ものづくり」だけに留まらず、関連する新たな事業展開が必要になると考えています。例えば、オープンファクトリーを通じた観光事業や、カフェ展開による飲食事業など、ものづくりを基盤に多角的な価値を提供する取り組みが必要になってくると考えます。

特に注目しているのは、海外からの観光客に日本の工場を体験してもらう、インバウンド向けの観光体験工場です。この取り組みを通じて、日本のものづくりの魅力を世界に発信したいと考えています。

インバウンドにも注目

ものづくり新聞は、インバウンド向け観光事業に関する情報提供を強化するとともに、観光体験工場の事業推進と拡大を積極的に進めていきます。これにより、ものづくりの価値を新たな形で国内外に広め、日本の製造業の活性化に貢献することを目指します。

インタビュー:ものづくり新聞編集部 担当S

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