ヒトを訪ねて

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2026.08

「裏方で終わりたくない」「着物が着物以外になる道を」未来へつなぐ2社の挑戦/ヌノニシタイ・Ajuda-日本製の覚悟店②

2026年8月27日公開

2026年7月3日(金)から4日(土)の2日間、東京・有楽町にある東京交通会館で開催された「日本製の覚悟店」。日本製のものづくりにこだわる16社が全国から集まり、約3,000人もの来場者が訪れ、賑わいました。ものづくり新聞では、16社の中から特に印象に残った企業をピックアップ!4回にわたり、取材を通して感じたそれぞれの「覚悟」をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、滋賀県高島市にある縫製工場・ヌノニシタイ株式会社と、東京都渋谷区で着物服ブランド「keniamarilia(ケニアマリリア)」を運営するAjuda(アジューダ)株式会社です。この2社からは、日本が誇る着物文化や職人たちの技術を守り、未来へつなげたいという覚悟を感じました。

nuno ni shitai./ヌノニシタイ株式会社(滋賀県高島市)

会場で次々と売れていたのが、着物生地を使った三つ編みバッグです。「縫製技術を未来へ残したい」ヌノニシタイ株式会社と「着物文化を未来へ残したい」Ajuda株式会社が、日本製の覚悟店への出店に合わせて共同開発しました。

生地にはAjuda株式会社の着物服ブランド「keniamarilia」の着物生地4柄を使っています。1点ごとに柄の出方が異なるため、すべてが1点ものです。

この三つ編みバッグを形にしたヌノニシタイ株式会社、代表取締役 中矢佳希(なかや よしき)さんにお話を伺いました。

中矢さんは31歳(取材時:2026年7月)。大学卒業後、京都府警察に入庁。結婚を機に奥様の実家である縫製工場へ転職。そこから縫製職人としての道が始まりました。

着物生地でコラボ商品「三つ編みバッグ」

ーーすごく素敵なバッグですが、これはどういう商品ですか?

中矢さん:「一番の目玉商品です。僕たちの定番商品である三つ編みバッグを、着物生地で仕立てました。隣のブースに出店されている着物服ブランド「keniamarilia(ケニアマリリア)」さんとのコラボで実現した商品なんです。」

ーーどうしてkeniamariliaさんとコラボしたいと思ったんですか?

中矢さん:「僕は、もともと『keniamarilia』のファンで、シャツも愛用していました。ケニアさんの人柄はもちろん、着物文化にかける情熱にも強く共感していて、『いつか一緒にものづくりがしたい』と思っていたんです。今回は、日本製の覚悟店なので、日本の伝統である着物を使った三つ編みバッグをつくりたいと猛アプローチし、念願のコラボが実現しました。三つ編みは誰もが親しみを持ち、すぐに思い浮かべられる形だからこそ、そのデザインを通して着物文化を身近に感じてもらいたいと考えました。」

ーーどんな試行錯誤があったんですか?

中矢さん:「着物生地を、いかにバッグにするかを試行錯誤しました。着物生地だけだと生地が柔らかいので、どうしてもバッグとしての形が保ちにくいんです。なので、着物生地と裏地の間に入れる、バッグの形や厚みを整えるための芯材(しんざい)の選定には非常に苦労しました。最終的には綿(わた)を入れる方法に落ち着きました。」

「作り手の価値を未来へつなぎたい」という思いが込められた三つ編みバッグ。着物生地であることの難しさを乗り越え、丁寧な試作とお互いの信頼関係によって生まれたコラボ商品です。

裏方で終わりたくない!だから、縫製工場を立ち上げた

ーー日本製の覚悟店には、どうして参加しようと思ったんですか?

中矢さん:「僕はもともと、このイベントの発案者である笏本さんの発信をずっと見ていました。笏本さんは、縫製工場でありながらオリジナルブランドを立ち上げ、発信を続けてきた方で、僕たちの目標なんです。その笏本さんが『日本製の覚悟店』を立ち上げると知り、『ぜひ参加したい』と手を挙げ、今回ご一緒させていただいています。」

ーーヌノニシタイ株式会社のことを教えてください。

中矢さん:「スタートは2年前ぐらいです。このブランド『nuno ni shitai.(ヌノニシタイ)』を独立させる形で会社を設立しました。それが2025年の10月です。僕たちは、滋賀県高島市でお店兼工場という形でやっています。そこで作って販売するほか、ネットショップでも販売しています。」

ブランド名「nuno ni shitai.」の「.(ピリオド)」には、読まないものの、「言い切る」「やり切る」という思いを込めたそうです。

奥様の実家の縫製工場で7年間経験を積み、2024年にファクトリーブランド「nuno ni shitai.」を立ち上げた中矢さん。その翌年、「ものづくりをもっと追求したい」と同僚の後川梨愛(あとかわ りえ)さん(写真上:左)と独立。2025年10月、ブランドを引き継ぐ形でヌノニシタイ株式会社を設立しました。

ーー新しい会社なんですね。廃業する縫製工場が多いなかで、新しく縫製工場を立ち上げるということは、かなり珍しいと思うんですが、経緯を教えていただけますか?

中矢さん:「まず僕と彼女は、縫製工場、いわゆる量産の縫製工場で働いていました。そこでは、他のブランドやメーカーの製造を請け負ってバッグなどを作っていたんです。 そこで働きながら、この『nuno ni shitai.』というブランドを立ち上げました。ただ、会社の中にいると、できること、できないことがあったので、僕たち自身『自分たちのやりたいことを一番にやりたい』という思いがあって、独立という形をとって現在に至ります。」

ーー「一番やりたいこと」というのはなんですか?

中矢さん:「自分たちの技術や、ものづくりの価値を、もっと皆さんに知ってもらうことです。縫製工場は、ブランドやメーカーの製造を請け負うことが多いので、どうしても裏方の仕事で、表に出ないことが多いんです。でも、僕たちは裏方で終わりたくない。この技術を知ってもらうことが、その価値を伝えることにつながると思ったんです。他のブランドのものを請け負うだけでは、それを100%実現するのは難しい。だから、自分たちで発信していくために、独立を決めました。

お客様に手に取っていただきやすい価格になるよう「こだわりを持ちつつ、より綺麗に、より早く仕上げること」を心掛けているそうです。2日目は5点しか残っておらず、午前中に完売。Mサイズ:29,800円(税込)、Sサイズ:26,800円(税込)(価格はすべて取材時2026年7月のもの)。

帆布生地と三つ編みへのこだわり

ーー普段はこちらの白いバッグを作っているそうですが、どんなバッグになりますか?

中矢さん:「僕たちが活動している滋賀県高島市の名産に『高島帆布(たかしまはんぷ)』というものがあるんです。普段は、その帆布生地を使わせていただいて、帆布(はんぷ)のバッグを作っています。」

ーー高島帆布は、どんな特徴のある生地なんですか?

中矢さん:「帆布は、もともと船の帆などに使われてきた、耐久性の高い生地なんです。身近なものだと、体育館のマットや跳び箱の上の部分など、耐久性が求められるようなものに使われています。それが今、バッグやアパレル製品などにも幅広く使われるようになってきました。」

ーーどうして持ち手部分に三つ編みを選んだんですか?

中矢さん:「帆布が使われているバッグを見ていると、形がシンプルなものが多い印象があったので、何かしら自分たちらしさを出したいと思ったんです。そのデザインを考えているうちに、三つ編みの持ち手に行きつきました。」

ーーこの三つ編み自体に何か工夫はありますか?

中矢さん:「この三つ編みは、本体と一体化した構造になっているんです。なので、このバッグは、持ち手が根元から取れることはありません。この完全に一体化させるという構造は、一番考えたところです。」

三つ編みに込められた思いは「つながり」。職人さんとお客様と受け継がれてきた文化。すべてが重なり合い、ものづくりの未来を紡いでいく。そんな願いが込められています。

縫製職人の技と想いを、未来へ

ーー「日本製の覚悟店」には、どんな覚悟で参加されましたか?

中矢さん:「日本製がどんどん少なくなっていく中で、どうやって自分たちが続けていくか。日本にはまだまだ素晴らしい技術が残っていて、それをいかに伝えていくか。僕たちが高みを目指し続け、自分たちのこだわりを貫き、それをお客様に伝える場だと思って参加しました。」

ーーどういうところが日本の素晴らしい技術だと思いますか?

中矢さん:「前の縫製工場で働いていた頃、熟練の職人さんたちは、本当に高い技術を持っていました。でも、誰一人として『自分はすごい』とは言わないんです。『まだまだ』と謙遜しながら、技術を磨き続けている。凄い技術を当たり前のようにやってのけるんです。その謙虚さや向上心、ものづくりに向き合う姿勢が、商品の細部に表れていました。そこが日本のものづくりの素晴らしさだと思っています。だからこそ、その技術がどれだけ価値のあるものなのか、そこを僕たちが伝えていきたいと思っています。」

ヌノニシタイオリジナルの木製のキーホルダーが出てくるガチャガチャ。その空のカプセル入れになっていた青い帆布バッグ。このバッグが欲しいというお客様も多かったです。

ーー今後の活動において、夢や希望があれば教えてください。

中矢さん:「もともと僕たちは、地元・滋賀県高島市の帆布を使い、地元に根差したものづくりを発信してきました。今回のコラボバッグも、着物の文化を伝えたいという思いから生まれたものです。今後は日本各地の伝統的な生地や文化を取り入れながら、素材そのものだけでなく、その背景にある職人さんの思いや技術、文化まで、この三つ編みバッグを通して伝え、広げていきたいなと思っています。」

持参したすべての商品が2日目の午前中に完売してしまったというヌノニシタイ株式会社。想定外の売れ行きに、急遽、三つ編みキーホルダーを作るワークショップを立ち上げて対応していました。

nuno ni shitai.オンライン

https://store.nunonishitai.jp/

keniamarilia/Ajuda株式会社(東京都渋谷区)

三つ編みバッグに着物生地を提供していた着物服ブランド「keniamarilia(ケニアマリリア)」。そのブランドを運営するAjuda(アジューダ)株式会社についてご紹介します。

Ajuda株式会社の代表取締役で、デザイナーの座波(ざは)ケニアさんにお話を伺いました。座波さんは、着物の古着のリメイクからオリジナルの反物・帯の製作まで手がけ、着物文化を未来へつなぐものづくりに取り組んでいます。

座波さんはブラジル生まれ。4歳から日本で育ち、23歳でアパレル業界に就職。営業や生産管理、デザインなどを経験し、2019年に着物服ブランド「keniamarilia」を立ち上げました。2020年に法人化し、Ajuda株式会社を設立。

着物が着物以外になる道を作る!着物服ブランド『keniamarilia』

ーー日本製の覚悟店に参加されるきっかけはなんだったんですか?

座波さん:「7年前(取材時:2026年7月)、着物服ブランド『keniamarilia』を立ち上げたばかりの頃に、笏本さんにネクタイをお願いしたことがあったんです。笏本さんとはその頃からのお付き合いなんですが、今回、日本製の覚悟店を立ち上げるってことになった時に『国籍が違うけれども、弊社もコンセプトに合うようだったら、ぜひ参加させてほしい』ってお願いしたんです。そしたら、笏本さんが『ケニアさんはもう日本製をしっかり守っている仲間だから、そんなこと言わないで大丈夫ですよ』って言ってくださって、参加させてもらいました。」

ーーここにある商品は着物をリメイクした商品なんですね。詳しく教えてください。

座波さん:「こちらは『keniamarilia』の人気商品で、腰に巻くだけで履けるスカートです。着物生地を普通に切って巻いただけでは、ウエストがすごく余ったり、妙なシワが寄ったり、もったいない形になるんですけど、『keniamarilia』では型紙を徹底的に研究しました。ゴムの配置も太さも長さも研究して、綺麗に着られる状態の形に落とし込んでいるので、どんな身長でも、体型でも綺麗に着られます。自信を持っておすすめします!

『keniamarilia』を支えているのは、日本各地の協力工場。ほどき、洗い、裁断、縫製、仕上げなどを職人に依頼し、座波さんが作った型紙をもとに指示しながら全体を管理しています。イベントでは手伝ってくれる人もいますが、基本的に、企画から全体の進行管理までを座波さん一人で担っているそうです。

試着も簡単!服の上から巻くだけで完成!

着物1反から作ったという正絹100%の巻きスカート。お値段は34,000円(税込)から。(価格はすべて取材時2026年7月のもの)

ーー巻くだけなら簡単に履けそうですね!自宅で洗濯はできますか?

座波さん:「フォーマルな着物生地に関しては、箔(はく)や刺繍といった特殊加工が施されているものもあるので、綺麗に保つためにドライクリーニングをおすすめします。でも、いま、ここにはないんですが、小紋の着物生地に関しては、事前に全部洗って、防縮加工をしているので、手洗いができます。」

ーー着物服ブランド『keniamarilia』を立ち上げようと思ったのはどうしてだったんですか?

座波さん:「私、アパレル業界に、もう20年くらいいるんです。着物で何かを作りたいという思いは、20歳の時からずっとありました。アパレル会社に就職して、修行して。ブランドを立ち上げたくて会社の人にお願いしたんですけど、『採算が取れないからダメだ』と言われて、結局、最後まで叶わなかったんです。もう自分で立ち上げるしかないと思って、会社を辞めて立ち上げました。本当はリメイクがしたいんじゃなくて、着物の反物を作りたいんです。 」

座波さん:「着物が、着物になる以外の道を作らないといけないと思いました。糸や織物を作る川上産業がなくなれば、その先のものづくりもなくなります。着物を着る人を増やすことも大切ですが、それだけではもう現場が間に合わないんです。国内で反物を手掛けているところは、もう極わずかしかないんですから。」

京都友禅協同組合が公表した「令和7年度 京友禅京小紋生産量調査報告書」によると、令和7年度の総生産量は213,251反で、前年度比7.4%減少しました。(出典:京都友禅協同組合「令和7年度京友禅京小紋生産量調査報告書」)

オリジナルの反物を作るきっかけとなったスカート

座波さん:「まずは、着物の古着をリメイクして需要を作る。古着の着物でも、洋服として着られるんだってことを証明しなくてはと思いました。……あ!お客様が履いてきてくださっている!」

友人同士で来場していたお二人が履いていたのは、keniamariliaの「ティアードスカート」。古着のお着物1着分をすべて使って作られているそうです。「履いてきてよかった!」と喜ぶお客様。3年前「keniamarilia」に出会い、それ以来のファンだそうです。

このスカートは、履く向きによってグリーンに見えたり、茶色っぽく見えたりと、雰囲気が変わるのだとか。履き心地もよく、お気に入りだそうです。

ティアードスカートに使った着物生地に関しては、事前に全部洗った上で、防縮加工をしているので、自宅でも手洗いができるそうです。紫のティアードスカートは、裾に反物の耳をそのまま使うデザインになっていました。

座波さん:「いつもこうやって、誰かが着てきてくれるんですよ。本当にお客様に助けられています(笑)。古着の着物をリメイクして、こういうものを作ってきたからこそ、今、オリジナルの反物でも作れるようになったんです。古着のリメイクだからって思われたくなかった。絶対そんなことない。着物生地は、ちゃんと美しい洋服として着られるんだってことを証明したかったんです。これがやりたかったの!」

ーーえー!すごい!オリジナルの反物はどこにご協力いただいたんですか?

座波さん:「京都の丹後です。『keniamarilia』が少しずつ積み上げてきたものを、職人さんたちが人づてに知ってくださって、そこからご縁が広がっていきました。少しずつ信頼関係を築く中で、織元さんをご紹介いただき、やっとオリジナルの反物で商品が作れるようになったんです!」

オリジナルの反物で作った「あずま袋」。洋風の花模様が織りで表現されています。まずは、より多くの方に届けたいと、19,800円(税込)で販売できる商品にしたそうです。2026年2月に予約販売し、即完売。座波さんの地道な努力が実を結び、誕生した商品です。(提供写真:Ajuda株式会社)

西陣織の老舗の織元とのコラボがま口

ーー今度はバッグについて教えてもらえますか?

座波さん:「こちらは、袋帯の中でも高級な『唐織(からおり)』で織られたがま口バッグです(写真下)。一見、刺繍のように見えますが、実は高度な技法で織り上げたものです。帯ならではの華やかさを活かしつつ、普段のお洋服にも合わせられるようにデザインしています。意外と洋服にも合わせやすいんです。それを証明したくて作りました。」

がま口バッグは人気で完売することが多いので、これだけの数が揃っているのは初めてのことなのだそうです。お値段は大41,800円(税込)、小36,800円(税込)から(価格はすべて取材時2026年7月のもの)。

座波さん:「こちらも唐織です(写真下)。この模様は『正倉院文様(しょうそういんもんよう)』と言います。奈良時代に唐などから伝わった宝物に見られる文様をもとにしたものです。こうした文様が施された宝物の多くは正倉院に納められ、当時、誰もが目にできるものではありませんでした。そこで、それを見た職人さんたちが、その模様をせめて柄にして後世へ伝えようと表現したものです。」

座波さん:「こちらは『引箔(ひきばく)』です(写真下)。和紙に箔をまぶして擦り付け、それを約1mm幅に細く切って横糸にして織り上げます。当たり前にできることじゃない、そういう最高峰の技術を職人さんたちはしれっとやっちゃうんですよ。」

ーーそういう知識はどうやって勉強されたんですか?

座波さん:「呉服屋さんや職人さんから話を聞いたり、教えてもらったり、本や資料を読み漁ったりして、かなり勉強しました。知りたいんですよ。すごく知りたいんです。実は、このがま口バッグをきっかけに、オリジナルの帯も作れるようになりました。約120年の歴史を持つ京都の『西陣まいづる』さんから声をかけていただいて、実現したんです。外に出て発信して、リメイクでものづくりを続けてきたからこそ、知っていただき、少しずつ信用が積み重なって、『ぜひ!』とお声をかけていただけたんです。」

ーー京都の織元から直々にお声がかかるなんて、すごい!なかなかないんじゃないですか?

座波さん:「私も何かの間違いじゃないかと思うくらいびっくりしました。でも、みんな奮闘しているんだと思います。なんとか、どうにかできないかって。みんな同じ思いだと思います。」

「keniamarilia×西陣まいづる」のがま口バッグ。幾重もの糸で文様を織り上げる西陣織。プリントでは表現できない立体感と、光や角度によって変化する奥行きのある表情が魅力です。お値段は、大44,800円(税込)、小43,800円(税込)(価格はすべて取材時2026年7月のもの/提供写真:Ajuda株式会社)。

日本製は「国防」であり、「日本人が日本人に渡す愛のカタチ」

ーー今回の日本製の覚悟店、どんな覚悟で参加されましたか?

座波さん:「日本製って、私の中では『国防』なんです。自分たちの国で生産できなくなったら、結局、他国を頼らなければならない。実際、私の所には、毎月のように縫製工場廃業の知らせが届いているんです。『あそこがなくなった』『ここがなくなった』、国内では服を縫える場所がどんどん減っている。自国で服を作れなくなったら、輸入に頼るしかなくなるじゃないですか。

座波さん:「それと、もうひとつ。国産は『日本人が日本人に渡す愛のカタチ』だと思っているんです。ブラジルでは、かっこ良ければOKという感覚もあります。でも日本のものづくりは、『使いやすいか』『困ることはないか』『どうしたら喜んでもらえるか』まで考える。その姿勢そのものが、使う人への愛情なんだと思います。

座波さん:「 『これをなくしていいんですか?』と私は思っています。アパレルの国内生産率は今や1.1%なんですよ。今回集まった16社は、思っている以上に希少な存在です。だからこそ、実際に見てほしいんです。 日本製が何かっていうものを。自分が今持っている服と比べて、見てほしい。 細かいところまで気を配った仕事ぶりを、ものづくりに対する丁寧な姿勢を。その違いをぜひ感じてもらいたいんです。

keniamariliaオンライン

https://keniamarilia.jp/

編集後記

座波さんがおっしゃっていた、日本製は「国防」「日本人が日本人に渡す愛のカタチ」という言葉がとても印象的でした。ヌノニシタイ株式会社とAjuda株式会社が共同開発した三つ編みバッグには「作り手の価値を未来へつなげたい」という思いが込められていました。中矢さんは、職人の技術を「裏方」で終わらせたくないために縫製工場を立ち上げ、座波さんは、着物文化を未来へ残すために、古着のリメイクから始め、今では京都の織元にオリジナルの反物を作ってもらえるようにまでなりました。お二人に共通しているのは、今あるものを守るだけでなく、「どうしたら次の世代につなげられるか」を考え、行動していること。職人の技術も、着物の文化も、何もしなければ少しずつ失われてしまうかもしれません。いや、すでに失われつつあるのかもしれません。それでも、知る人が増え、使う人が増え、そこに新しい需要が生まれれば、未来へつながっていく。お二人の挑戦が、職人の技術や着物文化を次の世代へつなぎ、日本のものづくりを支える力になっていくのだと思いました。

ものづくり新聞 記者 小柴寿美子

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