産地を訪ねて

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2026.02

ヒアルロン酸×シルク加工×サステナブル!化粧パフメーカーが本気で作った最高級パフ/東京パフ株式会社

2026年2月27日公開

JR総武線の両国駅から徒歩5分。墨田区の一角にある東京パフ株式会社。その本社前で、ひと際存在感を放っているのが、こちらの自動販売機。

販売しているのは食べ物や飲み物ではなく…、そう!化粧用品です!

自動販売機は、いわば「外に置けるショールーム」!東京パフで製造されている化粧パウダー用のパフ、リキッド用スポンジ、ブラシなど15種類が販売されています。

こちらは、その中でも1個1,200円というラグジュアリーなパフ。東京パフのオリジナル商品で、楽天市場やイベント、自動販売機でしか買えない特別な一品です。

コロナ禍でマスクが定着し、化粧をしない人も増えたため、ファンデーションなどの仕上げ用化粧品の売上は減少。そんな中、東京パフ株式会社は、業界を活性化させたいと、パフメーカーならではのパフ製造に挑戦し、販売をスタートさせました。今回は、パフの製造工場を訪ね、化粧用パフがどのように作られているのか、ラグジュアリーなパフに込めた思いも詳しくご紹介します。

独自製法の縫わないパフ

都内から車で約1時間半。東京パフの工場がある千葉県野田市にやって来ました。国内で化粧用具を製造しているメーカーは10社ほどあるそうですが、パフを専門に製造しているのは4、5社ほどだそうです。

代表取締役の鈴木総一郎(すずき そういちろう)さんです(写真下)。創業は1950年。祖父の久雄(ひさお)さんが立ち上げた会社で、鈴木さんは3代目です。工場の建設は2代目だった父、昭夫(あきお)さんが手掛けたもので1994年に完成。本社と同じオレンジ色のレンガ素材を使って建てたそうです。創業以来、工場では、国内を始め海外の有名コスメブランドなどの化粧用具が製造されてきました。それでは、早速工場内を案内していただきましょう。

鈴木総一郎さんは52歳(取材時:2026年1月)。大学を卒業後、食品商社に就職。4年間勤めたのち、東京パフへ入社。その5年後、2代目の父、昭夫さんが病気になったこともあり、31歳の若さで3代目の代表取締役に就任。趣味はラグビーというスポーツマンです。

東京パフの工場は、作業工程ごとに部屋の温度や湿度が管理されています。こちらは梱包作業の部屋。なぜか空気が白っぽかったんです。その理由は霧でした!生地の糸くずやスポンジの破片などで、どうしても埃が多くなるそうですが、加湿は埃を舞い立たせない有効な方法だそうです。

パフは食品ではありませんが、直接肌に当たるものです。そのため、鈴木さんは、前職である食品商社で培った知識を生かし、工場内の衛生環境を整えたと言います。

こちらは、おしろいの粉を顔に付ける化粧用具「パフ」(写真下)。リボンを反対側にくるっとひっくり返せば、両面使うことができるタイプです。

東京パフの強みは、このパフの製造ライン。最大の特徴は「パフを縫わずに製造する」という独自の技術です。撮影可能な範囲で、パフの製造工程を見ていきましょう!

パフ生地独特の運搬方法

鈴木さん:「パフの生地は、こんな風にロール状になって運搬されてきます。生地をひっかけて浮かして出荷しているんです。生地をそのまま巻くと、重みで生地の毛が寝ちゃうんですよ。パフ生地は肌当りの部分なので、毛が倒れると商売道具になりません。毛が寝てしまったら、粉含みも悪くなりますからね。

ーーパフ生地やリボンはどこから仕入れているんですか?

鈴木さん:「弊社は、織物の文化がある京都や和歌山の会社から仕入れています。京都にはリボン屋さんも多いので、いろんな色のリボンが手に入ります。和歌山は橋本市の高野口(こうやぐち)が生地の産地です。高野山があるところで『高野口ブランド』と言われています。ベルベットの生地なら高野口が一番です。ぜひ、触ってみてください。」

ーーうわ~!なめらか~!

鈴木さん:「これはポリエステルとナイロンの混紡生地です。ポリエステルは硬いんですが、ナイロンが50%入ることで、コシがありながら柔らかさも加わるんです。毛羽だった起毛(きもう)が見えますよね?地の生地にパイル糸がW字に刺さったように見えますが、この作り方を最初に見たときは驚きました。2枚の地の生地の間を糸でつないで、その間をベルト状の刃で切って起毛にするんです。ミリ単位の精密な作業なので、人の手ではとてもできません。日本の技術は本当にすごいと思いました。」

パフ生地は丸い刃型でカット

鈴木さん:「パフ生地は、『トムソン刃』と言われる刃物の付いた刃型(はがた)で抜き加工を行います。これがその型です(写真下)。今は刃が見えていませんが、刃の周りに刃よりも高さのある黒いゴムが付いていて、そのゴムの上に茶色い紙が貼ってある状態です。これを機械に取り付けて、上から生地を押さえるように『ガッチャン、ガッチャン』と切っていきます。その時、刃の周りにあるゴム部分が縮んで、刃だけが出てくるので、生地がカットされるという仕組みです。ゴムに紙を付けて切るのは、剥離性良く押さえつけるためです。刃だけだと生地が持ち上がってしまうので上手く切り抜くことができないんですよ。」

トムソン刃が付いた刃型。56φ(ファイ)と書いてありますが、φは円の直径を表す記号で、56mmに相当します。パフの完成品はひと回り小さくなるそうです。

パフ生地の起毛側を2枚重ね合わせてカットします。そうすることで生地がずれなくなり、上手に丸くカットすることができるそうです。

ーーパフの大きさは、何センチのものが多いのでしょうか?

鈴木さん:「55㎜が多いですね。一番小さくて45mmです。昔は80mmが主流だったんですけど、今は小さいんですよね。」

ーー物価高の影響も考えられますか?

鈴木さん:「そうですね。化粧品コーナーに行くと、パウダーがたくさん並んでいるところから、まずは手に取ってもらわないと始まらないので、『キャッチコピーやデザインで箱を目立つように設計して、少しでも買いやすい価格にしないと手に取ってもらえない』とお客様から聞いたことがあります。容器が小さいと粉も少量で済みますし、パフも小さくなりますからね。」

鈴木さん:「ふわふわした埃のようなものが付いているでしょ?生地をカットする過程で出るものなんですが、ここで作業をしていると、この埃の量が凄いんですよ。従業員は、鼻や口に埃が入らないよう、マスクやエプロンなどをして対策しています。」

鈴木さん:「こちら(写真下)は、同じくパフの生地を裁断する機械なんですけど、足踏み機なんです。私が子どものころからあったので、50年以上は使っていると思います。その頃、実家は工場の上にあったので、両親が仕事をしているときに、2階の部屋でテレビを見ていると、『ガッチャン、ガッチャン』って、この音がずっと聞こえていました。実は今も現役で動いていて、試作に一番いいって言われています。」

鈴木さん:「これが主戦力だった頃は、こういった型を1個1個置いて生地をカットしていました(写真下)。生地は何枚か重ねることができるので、1回で5枚はカットできましたね。」

2種類の土台を作る

鈴木さん:「これは、ウレタンです(写真下)。食器用のスポンジやボディスポンジにも使われるものと同じ種類のものです。これがパフの中に入っています。」

パフ生地とウレタンを専用の加工機械にセットし、パフの形に加工します。その一連の工程が機械で自動化され、加工するたびに、シュー!シュー!と音を立てながら素早く動いていました。パフをつまむアームの動きは繊細で、まるで指先のようです。

鈴木さん:「機械でやるから早いんです。パフの半分となるパーツを2万個作って、そのうち半分の1万個にはリボンを取り付けます。残りのパフ1万個と貼り合わせる事で、製品としては1万個のパフが一気に仕上がるわけです。」

貼り合わせて完成

鈴木さん:「最終工程では、パフのパーツを貼り合わせます。先ほど作った2つのパフの裏側を合わせて、リボン部分が上に来るようにセットします。セットしたまま機械に入れて加工を加え、パフのパーツ同士がくっつきます。この後は検品工程で、一つ一つパフの品質を確認します。」

ーー縫わないパフ!素晴らしいアイデアですね~!

鈴木さん:「完全に弊社独自の製造方法です。先代が考案し、私が引き継いだ製法ですが、今では人件費も上がり、国産のパフは珍しいものになってきています。これからもより高い品質とコスパに優れたパフを作り続けていきたいですね。」

ーー1日にどのぐらいの量が作れるんですか?

鈴木さん:「パフの製造は、見た目からは想像できないと思いますが、時間の掛かるものなので、1日当たり1万個が関の山です。化粧品会社さんからのオーダーは、大手さんになると10万個ぐらい、一番多い受注数量は5千個から1万個ぐらいですね。弊社では自社製造の強みを生かして1千個からでも対応するので、お客様に好評です。」

良いパフとは?

(写真提供:東京パフ株式会社)

ーー「良いパフ」というのは、どんな定義があるんでしょうか?

鈴木さん:「弊社としては『良いパフの定義はない』んですよ。各社(化粧品会社)、製品開発部がマーケティングをして、良いものを選び取って製品化するので、『製品のコンセプトとパウダーとパフ』の三位一体で設計されてこそ、本当に良いパフになるのです。私たちパフメーカーは、お客さんの目指すパウダーの付きや仕上がりを良くお聞きした上で、最適であろうパフを何種類かご提案して、実際に使ってもらってから選んでもらうようにしています。

ーー化粧品会社からはどんな要望があるんですか?

鈴木さん:「『取れ・付き・ノリ』って言うんですけど、例えば、お客さんが『付きがいい方がいい』って言うなら、コットンの生地を提案します。なぜなら、コットンは取れもいいし、付きもいいからです。そうやって、お客さんの希望に合わせたサンプル生地を用意するんですよ。」

ーーコットンのパフにはどんな特徴があるんでしょうか?

鈴木さん:「コットンは天然繊維で肌に優しいというイメージがありますが、結構コシがしっかりしています。パウダーの取れが良く、その分、付きも良いんです。粒子の細かいパウダーは、ポリエステルなどの合成繊維のパフでは、付きが良くないことがありますが、コットンに変えると付きが良くなるんですよね。あとプロメイクの現場でも使われることが多いです。コットン素材は吸収性に優れていますので、ベースメイクで浮き出た余分な油分をパフが吸い取ってくれるので、テカリや化粧くずれの防止になるそうですよ。」

パフの生地はコットンの他、アクリル、ナイロン、ポリエステルが使われます。アクリルはウールのようにふんわりとした柔らかさ、ポリエステルは肌当たりがさらっとして薄付きな仕上がり向け、ナイロンは非常に柔らかい特徴があります。ナイロンだけでは柔らか過ぎるので、ポリエステルを加え、コシと柔らかさを兼ね備えた混紡のパフを選ぶ人も多いそうです。(写真提供:東京パフ株式会社)

アクリル100%の生地は非常に柔らかいため、毛を15mmと長くし、ボディパウダー用のパフとして使っているそうです。(写真提供:東京パフ株式会社)

鈴木さん:「弊社の主力商品はポリエステル3mm(毛丈)という生地です。ポリエステルは、スポーツ用の Tシャツにも多く使われる素材で、強いし、洗濯しても型崩れしません。4mmになると、もっと粉を含むので、少しラグジュアリーな感じのパフになります。」

ーー毛が長くなるほど、粉含みが良くなるんですね!

鈴木さん:「そうなんです。でも3mmがダメというわけではありません。最近のメイクは意外と薄付きだから3mmで十分というお客様が多いです。毛が長いとコストもかかりますしね。」

生地の糸は、本来は乳白色の「生成り」です。白やベージュなど、仕上げたい色に合わせて必ず染色の工程を経て作られます。(写真提供:東京パフ株式会社)

縫製希望には特殊ミシンで対応

鈴木さん:「ここは、縫製を唯一やっている場所です。どうしても縫製がいいというお客様に対応しています。これは特殊なミシンなんですけど、20年ぐらい使っています。生地の表を合わせてセットして、周りをミシンで縫うんです。自動で縫うので、結構早いですよ。」

ーー本当だ!あっという間ですね!あれ?針が三角形に動いて、突起した部分に糸をひっかけていますね。 これはどうしてですか?

鈴木さん:「突起に引っかけた糸は、後で生地をひっくり返すときに使うんです。」

鈴木さん:「このひっくり返す作業が結構大変なんです。中に入れるウレタンを一緒に入れながら縫わなかった部分を利用して、ひっくり返して丸くしなきゃいけないんです。」

鈴木さん:「本来であれば、ひっくり返した後に、再び縫わなきゃいけないんですけど、糸があることで最後にキュッって結ぶだけでいいんです。結んだ後、糸始末をする時だけ、この糸を針に通します。針を反対側に出してから糸を切ると、余計な糸は中に残るので出てこなくなります。」

10cmのコットンパフが完成しました。この縫製作業の手間を考えると、「パフを縫わずに製造する」という独自製法は、やはり画期的ですね!

パフメーカーが作る最高級のパフ「sumire」

(写真提供:東京パフ株式会社)

ーーオリジナルの商品を作ろうと思ったきっかけは何だったんでしょうか?

鈴木さん:「やっぱりコロナがきっかけですね。化粧をする人が減って、化粧品が売れなくなったので暇になってしまいました。何かすることはないかなって思った時に、どうせなら『化粧品業界にないものを作ろう』ということで始めました。私たちはパフメーカーなので、普段は化粧品会社さんの意見を聞いて一番良いと思われるものを提案しています。でも、コストも重要な要素。主役はパウダーでもあるため、コストを掛けたくても掛けられない実情があります。だからこそ、ラグジュアリーなパフで、下火になっている化粧品業界に一石を投じたかったんです。

ーー具体的にはどんなパフなのでしょうか?

鈴木さん:「『sumire』のフェイスパウダーパフは2種類ありまして、白い方は、エコを意識して、リサイクルポリエステルの生地を選び、毛丈は3mm、パフの大きさは78mmにしました。生地を柔らかく作っても、小さければ小さいほど固く感じるので、パフは絶対大きい方がいいと思うんです。また、生地の加工度を高めるため、ヒアルロン酸加工を施しました。ヒアルロン酸は保湿成分を含むので、肌当たりが非常にしっとりし、乾燥肌や敏感肌の方にも摩擦による刺激が軽減されると言われています。

「sumire フェイスパウダーパフ(silky)」と「sumire フェイスパウダーパフ(fluffy)」。白い方には、「絹のような」という意味の「silky(シルキー)」、オレンジ色の方には、ふわふわという意味の「fluffy(フラフィー)」という商品名がついています。両方とも楽天市場では1,320円(税込)。自動販売機では1,200円(税込)。

(取材時:2026年1月現在/写真提供:東京パフ株式会社)

ーー確かに!表面がすべすべしています!気持ちいいですね~!

鈴木さん:「贅沢なパフを作りたかったので、オレンジ色の方は、シルクプロテイン加工を施しました。シルクプロテインは皮膚の主成分と同じタンパク質です。天然シルクから抽出したタンパク質を生地にコーティングすることで、肌に優しく、保湿効果が高く、吸湿性があると言われています。べたつかず、さらさらした感覚です。シルクは湿度を逃がすため、雑菌の繁殖を防ぐとも言われています。生地にはナイロンとポリエステルの混紡を使って、毛丈は4.5mm、パフの大きさは80mmにしました。」

合繊繊維の主力産地は、福井県・富山県・石川県の北陸3県。生地を染色したり、特殊な機能を持たせたりすることを『仕上げ』と言い、その仕上げは鉄分やカルシウムの少ない軟水が適していると言われているそうです。東京パフでは、その豊富な水資源を持つ福井県の会社に仕上げの工程をお願いしているとのことです。
(写真提供:東京パフ株式会社)

ーーヒアルロン酸加工からシルクプロテイン加工まで!贅沢ですね~!

鈴木さん:「パフの中のウレタンには、SDGsを意識した素材を取り入れました。ホタテの貝殻は、食べ終わった後、大量のゴミになるという問題がありました。貝殻を燃やすと灰になるんですけど、ホタテ貝の焼成粉末を混ぜて作ったウレタンを使用してゴミの削減に寄与しています。元々、貝やエビなどの甲殻類の殻には抗菌性があると言われているんです。」

ーー見えない部分のウレタンにまで、かなりこだわりましたね!

鈴木さん:「あとは、リボンの幅も24mmの幅広のものを使いました。幅広だと手もしっかりホールドされますから、使いやすいんですよ。ユニバーサルデザインという考え方で、誰でも楽に使えるようになっています。パッケージから素材まで一つ一つ選んで作った、パフメーカーのパフです。」

リボン生地にもエコを意識し、リサイクルポリエステルが使用されています。

(写真提供:東京パフ株式会社)

ーーsumireというブランド名はどうやって決めたんですか?

鈴木さん:「東京パフは祖父が起こした会社で、祖父が『sumire』というブランドを残してくれました。会社に残っていた印刷物に自社ブランド『すみれ』と書いてあったんです。知り合いの女性デザイナーに頼んでロゴを作ってもらったんですが、とても素敵なデザインに仕上がりました。」

ーー本社前の自動販売機でも販売されていますが、どういう経緯があったんでしょうか?

鈴木さん:「これもコロナがきっかけですね。当時、非接触ということで自動販売機が流行っていました。インターネットオークションに中古が出ていたんですが、その業者さんは商工会議所にチラシを入れている業者さんだったので、信用できると思って購入しました。とにかく会社の名前を覚えて欲しかったんです。目立ちたいと思って自動販売機にしました。正直、売り上げは期待していませんが、会社のチラシも置けますし、建物を見あげると『TOKYO PUFF(東京パフ)』って書いてあるので、何の会社かを知ってもらえる機会にもなります。」

異業種交流で新たな活路に期待!

自動販売機で化粧用品を販売するようになってから思いがけないことがありました。化粧品業界以外のお客様から声がかかるようになったそうです。

鈴木さん:「自動販売機を置いたところ、テレビ朝日の『じゅん散歩』に取り上げられたり、両国駅の JR東日本開発様から『夏にコスプレの妖怪イベントをやるので化粧品を提供してもらえませんか?』と声がかかったりしました。会社のPRにもなりますし、化粧用品のセットを200個提供したところ、あっという間になくなったと喜ばれました。」

東京パフでは化粧用のパフやスポンジの他、ブラシも製造・販売しています。出荷を待つ段ボールは1段に100個のブラシが詰まっていました。

鈴木さん:「墨田区で毎年11月に行われる『継創(ツギヅクリ)フェス』にも2023年から出展していて、一般のお客さんに知っていただく良い機会になっています。名前を覚えてもらったり、他業種との横のつながりが増えたりすれば、大きく前進することもあると思うので、地道に交流を広げたいと思っています。」

(写真提供:東京パフ株式会社)

ーー今後の目標があれば教えてください。

鈴木さん:「コロナ禍でマスクが定着し、化粧をしなくなってしまったので、その習慣がついてしまい、だいぶ化粧をする機会が薄れたというのと、最近は結構アジアンコスメが攻勢を仕掛けてきていて、日本の化粧品会社さんは少し元気がないんですよ。なので、とにかくお客様を増やしたいと思っています。いいときで150~160社くらい取引先があったので、社内では『2031年までに取引先を180社まで増やそう』って言っています。」

ーー2026年、新たに取り組もうとしていることは何かありますか?

鈴木さん:「弊社は日本でパフを作っている会社なので、中国には負けたくないんですよ。もっと各工程を効率化しつつ、品質を作りこんでいけるような新たな機械の開発を考えています。人間の手は、どのものづくりにも対応する素晴らしいものだと考えていますが、これからの時代、人口が減っていくことも考えられますし、機械に置き換えて対応力を上げていきたいと思っています。難しいんですけどね。」

ーー海外向けには何か考えていらっしゃいますか?

鈴木さん:「昔は結構、フランスやアメリカなど、海外の化粧品ブランドから依頼があって、そういうブランドのパフも作っていました。現状では、プチプラやアジアンコスメの流行に加え、コロナからの需要の回復が遅れていて、化粧品業界全体が元気のない状況なんですよね。パフ単体として海外への売込みは難しいかもしれませんが、化粧品の製品としてであれば、海外への売込みは可能ではないかと考えています。生地の織りの技術は、日本が段違いに良いです。パフの品質を決めるのは、製法ではなく、生地だと思うんですよ。良い生地を作る産地のあるに日本は強いと思います。

東京パフ株式会社 https://www.tokyopuff.com/

東京パフ楽天市場 https://www.rakuten.co.jp/tokyopuff/

東京パフLink集 https://lit.link/tokyopufflinks

【編集後記】

コロナ禍にも負けず売上が伸び、今も売れ続けているロングランの商品を教えていただきました。それがこちら!なんだかわかりますか?

これは、薄毛対策用のヘアケア商品。容器の中に黒い粉を入れ、その粉がキャップの中の空洞を通ってパフから出てくるという仕組みです。このパフで頭をポンポンたたくと、髪の毛が黒くなり、薄毛や白髪をカバーしてくれるというわけです。コロナ禍でWeb会議が当たり前になり、見た目を整える人が増えたことで、今も売れ続けているのではないかとのことでした。意外な効能ですね!

さて、東京パフの本社がある墨田区は、都内の中でも、なめし革製造業が多い地域ですが、実は、化粧品の製造や卸会社も多いんです。江戸時代、墨田区には武家屋敷が多く、明治維新後は、その広い敷地に町工場が発展していったそうです。

1887(明治20) 年にはカネボウの前身である鐘淵紡績が鐘ヶ淵で創立。1892年には精工舎が本所石原町で掛け時計の生産を開始し、1910年には向島須崎にライオンの前身であるライオン石鹸工場が設立されました。

引用:ホームページ「すみだモダン」 墨田区が『ものづくりのまち』になったわけ より

ライオン株式会社の本社は2023年まで墨田区にあり(現在は台東区)、花王グループの東京工場(すみだ事業場)は、今も区内で稼働しています。さらに墨田区は、カネボウの前身、鐘淵紡績(かねがふちぼうせき)発祥の地でもあります。現在も、石けんの「玉の肌株式会社」や椿油の「黒バラ本舗株式会社」、サインペンのペン先に加え、コスメチック用のペン先製造もしている「オーベクス株式会社」、ビューラーの「吉成工業株式会社」など、化粧用品関連の企業が集積しているので、墨田区は「化粧用品の町」とも言えるのではないでしょうか。「墨田区内で製造した化粧用品セットを販売してはどうか」という話にもなったので、今後の展開に期待が高まります。

ものづくり新聞 小柴寿美子

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