産地を訪ねて

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2026.07

紙が糸に、布に。紙の可能性を広げる杉山紙業の加工技術

2026年7月17日公開

紙は書くためのもの。そんなイメージを覆す企業があります。静岡市にある杉山紙業(すぎやましぎょう)株式会社は、紙を糸へ、さらに布へと加工し、帽子やシーツ、インテリア製品など、さまざまな製品に活用される素材を生み出しています。今回は、紙から糸や布ができるまでの製造現場を訪ねるとともに、素材メーカーならではの技術や課題、新たな可能性についてお話を伺いました。

紙加工メーカー、杉山紙業株式会社

東京から新幹線で静岡へ。JR東海道本線の興津駅からほど近い場所に杉山紙業があります。興津地域は駿河湾に面し、東海道五十三次の宿場町として栄えた歴史ある町です。

創業は今から73年前(取材時:2026年6月)の1953年。静岡市の興津地区にあった製紙会社が富士市へ移転する際、加工部門だけがここに残り、事業がスタートしました。富士市といえば、富士山の豊かな伏流水に恵まれ、古くから製紙業が盛んな「紙のまち」。現在もトイレットペーパーやタオルペーパーなどの家庭紙において、全国有数の産地として知られています。

杉山紙業の従業員は21名。朝8時から夕方5時まで、本社と車で10分ほどの所にある小島工場に分かれて働いています。本社で部長の杉山雄樹(すぎやま ゆうき)さんにお話を伺いました。

杉山さんは、社長である嘉章(よしあき)さんの長男、38歳(取材時:2026年6月)。大学を卒業後、印刷・出版用紙をはじめとした紙全般を扱う紙の専門商社に就職。東京で仕入、京都で営業を経験し8年間勤務した後、8年前、お子さんの誕生をきっかけに、静岡へ戻り、家業の杉山紙業へ。入社後はネットショップを立ち上げ一般への販売もスタート。

ーー静岡といえば、お茶やみかんのイメージでしたが、「紙のまち」でもあるんですね!

杉山さん:「はい、紙を作るには大量の水が必要なので、富士山の豊富な伏流水に恵まれた富士市は、古くから製紙業が盛んです。かつて、ここに製紙会社があった時代は、木材のチップをグツグツ煮る工程があって、常にお湯がある状態だったそうです。それこそ、お風呂がない家が多い時代は、近所の人たちが工場のお風呂に入りに来ていたと聞いています。」

色彩豊かな「紙糸」と「紙布」

杉山さん:「これが紙糸(かみいと)です(写真上)。緑色の方は白っぽい紙糸に緑色の塗料を、茶色の方はベージュの紙糸に茶色の塗料を付けています。紙本来の色を生かしながら塗料を加え、さらに紙の表面にある細かな凹凸や撚り方によって、1本1本異なる色合いと豊かな風合いが生まれます。」

ーー紙糸のカラーバリエーションは、どのくらいあるんですか?

杉山さん:「元の紙色だけでも約30色あります。それに紙テープの幅や糸の撚り方、塗料を組み合わせることで、何千通りもの色合いを生み出せます。同じ紙の色に同じ塗料を使っても、紙テープの幅や糸の撚り方を変えるだけで色の見え方が大きく変わるんです。オリジナルのコーティング技術で、ゴールドやパール色などの鮮やかな色彩から、濃淡のある自然な風合いの色味まで幅広く表現することができます。そこが弊社の腕の見せ所ですね!

杉山さん:「これも(写真上)紙でできているんですよ。紙糸を織ったもので紙布(しふ)といいます。

ーーえー!?この布も紙からできているんですか!確かに、よく見ると紙っぽいですね!

杉山さん:「紙布は布として扱うことができるので、普通にハサミで切ったり、家庭用のミシンで縫ったりできます。また、紙布の上に塗料をのせるシルクスクリーン印刷や箔押しなどの印刷も可能です。」

塗料にゴールドやパール色の粉を混ぜてキラキラな紙布にすることもできるそうです。

調べてみると、江戸時代には「紙布」が衣類や帯、袋などに使われ、人々の暮らしを支えていました。主に東北地方など、寒くて綿花が育たない地域で生産されていました。特に、仙台藩(伊達藩)の城下町だった白石(現在:宮城県白石市)の白石紙布(しろいししふ)は、将軍家にも献上されるほどの名産品だったそうです。

紙布を帽子に!下駄に!インテリアに!

ーーところで、壁に帽子がたくさん飾ってありますが、これも紙で出来ているんですか?

杉山さん:「全部、紙で出来ています。弊社の素材を使って海外で帽子に加工され、主に欧米へ輸出されています。1万円以上する帽子ですが、環境意識の高い海外では人気なんです。紙は再生可能な資源なので『紙=エコ』。海外の方が消費者レベルで意識が高いからだと思います。」

左は(写真上)紙糸の組紐を使い、麦わら帽子と同じく螺旋状に縫った帽子。右は(写真上)紙布を縫って作った帽子。作り方が違うだけで、紙の素材も色合いもほとんど同じものなのだそうです。紙なので『通気性が良く、軽い』のが特徴です。

ーーこの下駄(写真下)にも紙が使われているんですか?

杉山さん:「はい、これは、駿河張下駄(するがはりげた)といって、この駿河の地域に伝わる伝統工芸品なんです。足が触れる部分に弊社が提供した素材が使われています。下駄の職人さんが 1枚1枚、紙布を切って、模様になるように張り合わせているんです。」

杉山さん:「張り合わせだから、すごく多彩な模様ができます。上から漆が塗ってあるので耐久性もあり、長く使えるようになっています。表面の凹凸した感じが足裏に当たって、履き心地もいいんです。あの照明(写真下)にも紙布が使われているんですよ。」

杉山さん:「左側(写真上)が最新版なんですけど、外側の網目の部分に弊社の紙糸で織った紙布が使われています。実際にライトをつけると、この網目から光が漏れるので、すごく良い雰囲気になるんですよ。今、電気がつながっていないので、実際にお見せできないのが残念です。」

紙なのに洗える!「和紙のシーツ」

杉山さん:「こちらは(写真上)弊社の商品を使ってブラインド屋さんが作った和紙のシーツです。発売するようになって5、6年(取材時:2026年6月)は経ちますが、弊社のネットショップで販売したり、展示会に出展したりと、PRさせていただいています。実際に触ってみてください。」

ーー思ったより柔らかい!和紙なのに洗えるんですか?

杉山さん:「はい、洗えます。『和紙』と『シーツ』は対極にあるイメージだと思うんですけど、ちゃんと洗濯マークもついています(笑)。紙には湿度の調整機能もあるので、実はシーツに向いた素材だと思うんです。」

ーー意外です!!どうして洗えるんですか?

杉山さん:「緯糸の白と茶色が紙糸で、経糸はポリエステルの糸を使っています。元々、ブラインドのロールスクリーンなんですが、引っ張るときに強度を持たせるため、経糸にポリエステルの糸を使っていたんです。そのおかげで、洗濯できる素材になりました。」

ーー元々はロールスクリーンなのに、どうしてシーツに?

杉山さん:「弊社の紙糸を使ってロールスクリーンを作っている会社が、そのロス対策として考案したのがシーツなんです。ロールスクリーンは機械で編むと3m幅くらいあるんですが、一般的な規格は2m幅なので、どうしても1mのロスが出てしまっていたんです。そのロス素材を利用して、シングルサイズのシーツが作れないかと、ロールスクリーンの会社が発案しました。」

杉山さん:「自分用はもちろんですが、『両親へのプレゼント』や『出産祝い』など、贈り物としても使っていただいているので嬉しいです。同じ素材で、枕カバーもあります。」

ーー実際に使った方からの感想はいかがですか?

杉山さん:「『すごく寝心地がいい』という感想が多いです。紙は綿よりも熱伝導性が高いため、一般的な綿のシーツよりもひんやりとした肌触りで、気持ちよく眠れるのだと思います。紙は通気性もいいですし、和紙特有のシャリ感が、畳の上でお昼寝しているような感覚になるんです。日本人は畳の文化がありますから、こういう感触は好まれるんじゃないかと思います。また、通気性が高いため、夏だけでなく、布団の中が蒸れる冬も快適に使っていただけると思います。

原料は針葉樹100%のパルプ紙

ーー和紙の原料といえば、「コウゾ」や「ミツマタ」が浮かびますが、この紙糸や紙布の原料は何ですか?

杉山さん:「北欧や北米の寒い地域で育った針葉樹100%を使ったパルプ紙が原料です。コピー用紙などの一般的な紙には広葉樹が使われますが、これには針葉樹が使われます。なぜなら、針葉樹は繊維が長い分、紙糸の撚糸に必要な引張強度(ひっぱりきょうど)が高いのが特徴だからです。」

四国の製紙会社から仕入れている機械すきのパルプ紙。北欧や北米産の針葉樹を原料とし、1巻きの長さは約1万メートル、重さは約200kg。フォークリフトを使って運びます。

ーーそもそも、紙と糸の違いは何でしょうか?

杉山さん:「そうですね…。紙は、木材チップをほぐして繊維にして、水気を取り除いて乾燥させることで作られます。繊維同士が絡み合って強度が生まれる点では糸も共通していますから、一番の違いは伸縮性でしょうか。糸は伸びますが、紙はほとんど伸びないんです。そのため、紙布を織る際は、少し引っ張る力が加わっただけで切れてしまうこともある、とてもデリケートな素材です。だから加工がすごく難しいんです。」

紙をカット、撚る、織る。紙加工の現場見学!

1)紙のカット技術

実際に紙を加工している現場を案内していただきました。

杉山さん:「原紙のままだと大きすぎて加工ができないので、一旦、こうした小さいサイズに巻き取ってから加工します。(写真下)」

杉山さん:「これは丸刃(まるは)の自動切断機で、大きなパルプ紙から小巻にしたパルプ紙を金太郎あめのように切っているところです。押切(おしぎり)といって、臨機応変にテープ幅を変えられる点と、すぐ切れるスピーディーさが強みです。プログラムを組んで自動で切っているので、テープ幅に、より正確さが求められるときに使います。」

杉山さん:「自動切断機のデメリットは、丸刃の径に制限があるので、あまり長いメーター数を巻けない点です。テープ幅の精度が求められる製品には自動切断機、長尺加工には手動切断機と、用途によって使い分けています。ちなみに、このテープの幅は4mmです。」

杉山さん:「こちら(写真下)がその手動切断機です。直刃(ちょくは)を使い、目的の幅に手動で切っていきます。ある程度の巻メートル数が必要で、かつ、撚りを加える紙糸や紙紐を作る時に使います。」

手動切断機で作業員が切っていた白いテープ幅は7mm。左側のベージュと茶色のテープ幅は18mm。

2)紙を撚る「紙糸」

ーー本物の糸みたいですね!

杉山さん:「上にカットした紙テープをセットして、ノズルを通って、こよりのように撚っていきます。実際には、上にあるテープの方が回転することで、紙に撚りが入る感じです。」

杉山さん:「実際にできた紙糸です(写真上)。触ってみてください。」

ーー案外、固いんですね!

杉山さん:「水分を含ませているので湿っているんです。紙が乾いた状態で撚ると戻ってしまうんですよ。水分を含ませながら撚ることで、糸としての形状が保たれるわけです。その水分量の調整も大事なんです。夏は湿気が多いので、水分を含ませすぎると、紙が切れやすくなります。逆に冬は乾燥しやすいので、水分の量を増やさなければなりません。冬はビニールカーテンで閉め切って、加湿器をガンガン焚きますが、逆に夏は窓を開けて、通気性を良くしながら作業をしています。その湿度調整のために、床も木のままなんです。

帽子用の紙糸を作る機械。担当者がお休みのため稼働していませんでしたが、工場の床が木であるのは湿度調整のためだったんですね。

杉山さん:「こちらの機械、今は止まっていますが、ラッピング用の紙紐を作る機械です。機械の原理は一緒なんですけど、テープの幅や撚るスピード、ノズル(写真下)の大きさなどを変えることで、違った風合いの紙糸や紙紐を作ることができるんです。」

50mm幅のテープがノズルを通り、ふんわり感が残る紙紐になるように撚っています。

ーー撚る機械は何台ぐらいあるんですか?

杉山さん:「帽子用は全部で8基。ラッピング用は2基です。1基で60本作ることができるので、ラッピング用は2基動かせば一気に120本の紙糸を作ることができます。」

3)紙糸を織る「紙布」

紙布は工場から車で10分ほどいった小島工場で作っているというので案内していただきました。

ーー紙布専用の織機を使っているんですか?

杉山さん:「元々は機屋さんが使っている織機(しょっき)でしたが、弊社ではそれを紙糸用に調整して使っています。この調整がすごく難しいんです。織物を作っている機屋さんに、弊社の紙糸を使って織ってもらったとしても、多分、織れないと思います。逆に言うと、弊社の場合は、紙布しか織れない織機ですね。」

経糸の様子。830本の紙糸がセットされていました。

杉山さん:「紙布は経糸に対して、緯糸を1本ずつ順々に入れていきます。どういうことかというと、例えば、緯糸をつまんだレバーが右から左へ移動し、紙糸を通す度に、その紙糸の端を自動でカットしているんです。速すぎてよくわからないと思いますが、ガチャンという一瞬で、その動作が行われています。紙糸は伸縮性がないので、こういう織り方が良いようです。」

両端に飛び出した紙糸は、織機のハサミでカットする前、自動で縫っています。これだと紙糸をカットしてもバラバラになることはありません。ゴミを散らかさない工夫なんです。

織り上がった紙布。隙間を入れて織ることもできます。

杉山さん:「これは経糸を準備しているところです。奥の方に経糸の元があって、それを集めて一旦ここで巻いています。奥の小さいロールは80~90本くらいあります。」

杉山さん:「織機に経糸を800本セッティングしようとするときに、800個の小さいロールを作るとなると大変なので、10倍の長さのロールを80本用意して、それを10回に分けて経糸に巻き取ります。そうすることで800本の経糸をセッティングすることができるんです。」

紙糸を巻いたロール80本からそれぞれ糸が出ている様子

紙糸のロールは縦1列に10本セッティングでき、それが左右6本ずつあるので、最大120本の経糸を同時に巻くことができます。

経糸830本を巻く場合、84本を5回、82本を5回巻いて830本に調整するそうです。

4)刃で切りながら巻き取る技術「スリッター」

杉山さん:「これは『スリッター』という切断機です。ロール紙を刃で切りながら巻き取る機械で、刃の調整に時間がかかるものの、一度セットすれば大量加工に向いています。長尺の紙や決まった幅の紙テープを効率よく加工できるため、用途に応じてほかの機械と使い分けています。」

杉山さん:「これは(写真下)建築用の資材で木目が印刷されている紙です。建物のドア、階段、窓のサンなどに使われます。木目調の家具は、元々木に色を塗っているのではなく、そういう色の木目を印刷したシートを張っているんです。これは完全にカットだけの仕事です。お客さんから紙が提供されて、このようにカットして欲しいという依頼にも対応しています。 」

杉山さん:「使う場所、使う物によって、幅やメーター数はさまざまです。短納期で、しかも多様な幅に対応できる会社はなかなかないそうで、ありがたいことに多くのお客様からご依頼いただいています。」

入社22年目の佐藤さん。スリッター刃のセッティングはお手のもの。

地元の小学生には工場見学も行っています。「ロール紙の長さは1万メートル、ここからショッピングセンターくらいまでの長さだよ。」と説明すると、驚かれるそうです。

ーー御社の強みはどんなところでしょうか?

杉山さん:「他の企業は分業が多い中、弊社は紙を切るところから、撚って紙糸に、織って紙布にするところまで、一貫して作業できるということが強みだと思います。企業秘密なので、今回お見せ出来ませんが、色を付けるコーティング技術も弊社のオリジナルです。通気性に優れ、湿度調整ができるという紙ならではの機能はそのままに、新しい付加価値をつけることができるのも強みですね。

ーー素材として提供するときに、一番心がけていらっしゃることは?

杉山さん:「色味には気をつけています。ランダムな色合いではあるので、その季節の湿度や気温によって色のつき方が変わってくるんです。これも強みではあるんですけど、自然には出せないので、季節によって、同じものでも若干色のつき方が違うことがあります。その差があまり出ないように現場の担当者が気を付けてくれています。」

素材屋としての課題

ーー杉山さんは、以前は紙の専門商社で働いていらっしゃったと伺いましたが、その仕事をやめて家業に入ろうと決心されたとき、不安はなかったですか?

杉山さん:「それは、あまり感じなかったですね。一般的な紙の需要は減っていますが、弊社は唯一無二の紙の加工素材を扱っているという自負があったので、良くも悪くも左右されないという思いがありました。でも、営業をしても、一歩先に進まないことが課題だなと思いますね。」

ーーそれはどういう課題なのでしょうか?

杉山さん:「実物を見ると、『紙から糸ができるの?織って布ができるの?』 って驚いてもらえますし、触ってもらうと『感触も面白いね!』って興味は持ってもらえるんです。でも、実際に、これを使ってどんなものが生み出せるのかがイメージしづらいところがあるようで、『自分の会社にどう活かせるのか』という部分で、一歩先に進まないことが多いんです。だから、最初は営業の仕方がわからなくて、かなり苦戦しました。」

ーーどうやって乗り越えたんですか?

杉山さん:「すぐ何かにつなげるというよりは、いろんなところに顔を出して、認知度を広めることから始めました。弊社は素材屋なので、例えばデザイナーさんに知っていただくことで、何か新しい素材や面白い素材を探している時に、弊社の商品を思い浮かべてもらって、提案していただけるようになればいいなと考えました。自社でも新商品を考えてはいるんですが、なかなか良いアイデアが浮かばないんです。」

畳の素材を再利用した紙布で作ったペンケースの試作品。「紙は文房具。その紙で筆記用具を入れるペンケースを作ったら面白いのでは?」という発想から生まれました。手芸が趣味という86歳(取材時:2026年6月)の祖母が家庭用のミシンで作ってくれたそうです。

紙布を使ったバッグ。涼し気で素敵ですが、展示会用に試作で作ったもののため、販売には至っていないそうです。

杉山さん:「今ほとんどがBtoBで、お客様は企業ですから、BtoCとして一般のお客様へ販売するとなると、別の知識も必要になると思います。挑戦はしていきたいと思っているんですが、なかなか形にならないのが課題ですね。」

デザイン学校の学生たちと新たな挑戦

杉山さん:「若い人材の確保に加え、新たな事業の柱づくりも課題です。そこで今、10月に行われる静岡のオープンファクトリー『ファクハク』に向けて、地元のデザイン専門学校で造形を学ぶ学生6人と新製品の開発に取り組んでいます。毎月1回グループワークを重ね、最終的に学生さんからデザインを提供してもらう予定です。それをどこまで形にするかは弊社で検討します。今は(取材時:2026年6月)コンセプトを考えている最中なので、具体的なデザインはこれからです。」

ーー学生さんたちとタッグを組むことでどんなことを期待していますか?

杉山さん:「我々は、ある意味、紙を知り尽くしてしまっているので、なかなか枠から外れたアイデアが出てこないんです。先入観を持たない学生さんたちだからこそ、意外なアイデアが出てくるのではないかと期待しています。」

ーー素材としての紙の面白さや魅力は、どんなところに感じていらっしゃいますか?

杉山さん:「紙はすぐ破れるし、水にも弱いというイメージを持つ方が多いと思いますが、紙を撚って、コーティングで色付けをして、しっかり織るという弊社の加工技術によって、すごく丈夫な素材になるところが面白いところだと思います。一般的な紙自体は電子化やペーパーレス化も進んでいますが、書籍1つとっても、実際に手にすることで紙のぬくもりや温かみを感じることができます。そういったことは電子書籍では味わえない紙そのものの魅力なんじゃないかと思います。紙を長く皆さんに使ってもらいたいという思いは、前の会社にいた頃も、今も変わりません。 」

●杉山紙業株式会社 https://sugiyamashigyo.co.jp/

●和モダン雑貨「紙工房すぎやま」 https://washi-sugiyama.stores.jp/

●ファクハク 静岡工場博覧会2026   https://fakuhaku.com/ 

日程:2026年10月16日(金)~18日(日)
会場:静岡市内全域

【編集後記】

(写真提供:杉山紙業株式会社)

2026年7月2日(木)~5日(日)の4日間、静岡市清水区の清水駅前銀座商店街で開催された「清水七夕まつり」。祭りを彩る竹飾りには、杉山紙業の紙テープが使われているそうで、杉山さんが写真を送ってくださいました。華やかですね!また、デザイン専門学校の学生たちとの新商品開発は、具体的なデザイン案も出てきたとのこと。10月に開催される静岡のオープンファクトリー「ファクハク」でのお披露目が楽しみです。紙が紙糸や紙布へと姿を変える杉山紙業の加工技術。素材メーカーだからこそ生み出せる新たな可能性に、これからも期待しています。

ものづくり新聞 小柴寿美子

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