産地を訪ねて
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2025.07
日本工芸産地博覧会レポート④和歌山の若手職人「菊井鋏製作所」「山家漆器店」「そめみち染物旗店」

2025年7月31日 公開
日本工芸産地博覧会2025が、6月16日(月)~18日(水)までの三日間、大阪・関西万博内のEXPOメッセ「WASSE」で行われました。このイベントは「工芸産地へ行くことが旅の目的になって欲しい」と願って、日本工芸産地協会と読売新聞の共催で行われたものです。

全国各地から手仕事の工芸に関連した20社が参加し、大阪弁で「どや」と自慢できる商品の展示や販売を始め、職人による実演や体験なども行われました。3日間の来場者は約4万人!ものづくり新聞では、取材してきた内容を4回にわたってレポートします。
今回がその4回目。自分たちを「チーム和歌山」と呼ぶ若手職人たちのご紹介です。

■有限会社菊井鋏製作所(和歌山県和歌山市)鋏(はさみ)
■株式会社山家漆器店(和歌山県海南市)漆器
■そめみち染物旗店(和歌山県御坊市)染物
完全オーダーメイド!美容師専門の鋏屋/菊井鋏製作所

菊井鋏製作所(きくいはさみせいさくしょ)は、和歌山県で、美容師の鋏(はさみ)に特化したものづくりを行っています。2022年、和歌山市の工場を訪ね、ものづくり新聞でもご紹介いたしました。(2022年2月11日記事公開)
代表取締役の菊井健一(きくい けんいち)さんです。創業は1953年。菊井さんのお爺さんが立ち上げた会社で、2016年、菊井さんは3代目として後を継ぎ、9年目になります。今回は、ものづくり新聞のインタビュー後からこれまでの変化や、これからの意気込みを伊藤編集長が伺いました。

平日開催は美容師と相性がいい!嬉しい誤算
ーー今回、万博でのイベントに参加されようと思ったきっかけは何ですか?
菊井さん:「弊社は、日本工芸産地博覧会2021から、ずっと出展させていただいています。当初から、万博での開催を目指してやってきているので、せっかくなら出たいと思いました。最初、和歌山では万博への出展予定が弊社1社だけだったんですけど、もう2社和歌山から出展することになり、みんなで勇気を出して行こうということになりました。万博にはいろんな人が来るので、誰にどう見せるかより、『自分たちがどういうプロモーションができるかを試したい』という思いが強かったです。」

ーー実際参加してみていかがですか?
菊井さん:「今回、開催が平日の月火水なんですが、美容師さんにとっては休日なんですよ。特に関西は月曜日が休みという所が多いので、美容師さんが15分に1人ぐらいは来てくれるような状態で、昨日、一昨日で、3丁も売れました。」
ーー凄い!菊井さん、良かったですね!
菊井さん:「はい、たまたまお休みの日で、何があるか知らずにきた美容師さんが、『ここに鋏があるじゃん』って(笑)。面白いのは、僕と美容師さんが話をしていると、周りにいる一般の方が、その話を面白がって一緒に聞いてくれるんですよ。『どんな鋏を使っているんですか?』『何インチです。』という、僕らとしては鋏屋と美容師の普通の会話なんですけどね。美容師さんが鋏にも、こんなにこだわっているんだっていうのが、きっと周りの人たちにも伝わったんじゃないかなと思います。万博って、そういう意味では、みんなで一緒に場を作っていくっていう感じがすごく面白いなと思いました。」
キーホルダー作りとオンライン工場見学
ーー鋏は刃物ですから、今回はケース内に展示して、皆さんに見てもらう感じですか?
菊井さん:「はい。そうです。普段、オーダーメイドなので、作り置きはしていないんですけど、今回は、万博用に鋏を作って展示しました。後はその場で名入れをしたキーホルダーを販売しています。」

万博の記念に!鋏職人の手技でつくるアルミキーホルダー。名前刻印入り。
菊井さん:「昨日は、うちのベテランの職人勢が工場にいたので、夢洲と和歌山をオンラインで繋いで、このモニターを使って、リモート工場見学もやりました。30分だけでしたけど、結構面白がって見ていただけました。」

菊井さん:「今回は、触れられないものの魅力をどうやって伝えるかというのが、一番難しかったんですが、逆に、オンラインでも自分たちの工場を見てもらえるってことがわかったので、自信につながりました。手元のアップが撮りやすかったので、カメラを担当していた妻に、『ちょっと寄りで映してあげて』『ちょっとこの角度から撮ってあげて』と、僕がリアルに話をしながら見せられたのが良かったんだろうなと思います。同じものをみんなで見られるのは、オンラインだからこそできることだなって思って、すごく学びが多かったです。」
「工芸職人」と言えるようになった
ーーものづくり新聞で取材させていただいてから、ここ2、3年で変わったことはありましたか?
菊井さん:「去年(2024年)、『髪を切る職人と、ともに在り続ける』という経営理念を作りました。その中で、社員と一緒に理念を共有するワークショップをしたことで、今回も、職人全員がこの万博のブースについてきてくれるようになったと思います。この場の雰囲気や、自分たちの技術が認められていることを職人たちにも感じてもらいたかったんです。今までは、表に出るのは嫌だって言っていた職人たちが『万博やし、行こうか』と言ってくれるようになりました。」
美容師ではなく「髪を切る職人」という表現が、お互い「職人同士」という関係性が伝わってきます。

菊井さん:「日本工芸産地博覧会の出展企業の中で、B2Bの僕らのような会社が工芸?と思うんですが、弊社のものづくりを振り返ると、手仕事で1点1点、髪を切る職人を想い、ひとりひとりの手に合わせたものづくりをしています。僕らの作った鋏を『大安の日に使い始めます』と言ってくれたり、師匠や親から受け継いで使ってくれていたりする。そういうことを考えると、一般の人が触れることのない我々のものづくりも『工芸だ』と言っていいんだと、自信を持って出展できるようになりました。そういうのは、最初に日本工芸産地博覧会に出た4年前には言えなかったんですよ。そのときは、『僕らは工芸でもないし、産地でもないし』って言いながら出ていたんです。それは、ここ数年の変化だなと思っています。」
オーダーメイドを極めたい

ーー美容師さんからは実際、どんなことを求められるんですか?
菊井さん:「例えば『手の大きさに合わせて持ち手の部分を小さくしてほしい』、『使い方に合わせて切れ味を調整してほしい』といったように、本当にいろんなオーダーがあるんです。究極的には、『長く使えて、心地よく使える鋏』ですね。美容師さんの手にちょうどフィットした形、切れ味の好みなどを大切にしたいと思っています。」
ーー将来、この事業をもっと大きくしたいというのはもちろんだとは思うんですけど、菊井さんとしては、今後どのようにしていきたいですか?
菊井さん:「そうですね。とはいえ、規模感の大きい会社にするつもりはなくて…。僕らって手仕事なので、抱えられる人数も限られるし、手仕事を丁寧にしていくっていう意味では、今の規模感が一番いいんじゃないかなと。野心のない話なんですけどね(笑)。ただ、もっと美容師さん1人1人と繋がって、丁寧な仕事をやっていくというのは、これからも大事にしていきたいなと思っています。」

写真提供:一般社団法人日本工芸産地協会
髪を切る職人の鋏は、注文をいただいてから、約1ヶ月かけて仕上げるそうです。途中過程も写真で紹介しながら、「美容師さん一人一人に寄り添った1本を作りたい」とおっしゃっていました。
有限会社菊井鋏製作所 https://www.scissors.co.jp/
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漆器であそぶ/紀州漆器 山家漆器店
続いては、今回が初出展という和歌山県の紀州漆器「山家漆器店(やまがしっきてん)」です。創業は1950年。山家漆器店がある和歌山県海南市(かいなんし)の黒江(くろえ)地区は、室町時代から続く、紀州漆器の産地として知られた地域。「紀州漆器」は、福島県の「会津塗」、石川県の「輪島塗」「山中漆器」と共に、日本三大漆器産地と言われています。そんな紀州漆器の特徴は、シンプルかつ丈夫なこと。日常生活で気軽に使える漆器として親しまれていますが、今回万博に展示した商品は白を基調とした新しい試みの漆器でした。

山家漆器店の代表取締役社長 山家優一(やまが ゆういち)さん(写真下・左)と、山家漆器店の商品開発デザイナー、クリエイティブディレクターの田口裕介(たぐち ゆうすけ)さん(写真下・右)です。山家さんは、山家漆器店の4代目。「漆器であそぶ 漆器で笑顔になる」というコンセプトを大切に、紀州漆器の価値を高めていきたいと活動しています。田口さんは、今回展示されていた新ブランド「SHIKI-ORIORI しきおりおり」のデザインを担当しました。今回は、お二人に、新ブランドを立ち上げた思いや、紀州漆器の産地全体が抱える課題について、伊藤編集長がお話を伺いました。

山家漆器店の新ブランド「SHIKI-ORIORI しきおりおり」。コンセプトは「うつりかわりを愛でるための、白」。古来から日々の感謝を神仏に捧げる「お盆」の歴史的な様式美を、花、砂、波、切、雪、多彩な顔を見せる和歌山の自然から、日本の心を揺さぶる白の奥深さを表現。(山家漆器店HP 引用)
下皿文化を生かした新たな紀州漆器の提案
今回、山家漆器店が出展したのは、白い漆器のお盆。和歌山県は、日本で最も多くのお盆を生産する地域とも言われています。
ーーすごく風合いがいいですよね。この上にお料理をのせるイメージですか?
田口さん:「元々はお盆シリーズとして作っているんですが、お料理も載せられます。これが一般的なお盆の形ですが、この枠がなかったらどういう使い方が出来るかな?とか、高さを付けたら何に使えるかな?など、ベストな形を探りながら作りました。」

ーーこの上に陶器を載せて、その陶器に料理を載せてもかっこいいでしょうね。
田口さん:「西洋には『下皿』という文化があるので、そういう提案の仕方もありかなと思いました。先ほどご購入いただいた方は、ジュエリーの作家さんだったんですが、ディスプレイとして使うそうです。元々、紀州漆器の産地では、『花台』というのもあるので、こんな風に飾ってもらってもいいと思います。」

ーーもうアートですね!
田口さん:「紀州漆器、伝統工芸というのは、裏付けとしてある方がいいかなと思うんです。前面に出してしまうと、どうしてもハードルが上がってしまう。『ご自宅に漆器はいくつありますか?』って聞いたときに、『お味噌汁のお椀とお箸はあるかなー』とか、『漆器は扱いづらいでしょ?』と敬遠されてしまうこともあります。私たちは日常の中で、当たり前のように漆器を使ってもらいたいと思っていて、会社のコンセプトである『漆器で遊ぶ 漆器で笑顔になる』も含めて打ち出していけたらなと思います。」
ーーそもそも「白」っていうのが斬新ですよね。漆器に白のイメージがないですから。
田口さん:「紀州漆器には、漆器の表面を研磨して模様を浮かび上がらせる『研ぎ出し』という技法と、元々和歌山でずっとやってきた黒漆(くろうるし)で塗った上に朱漆(しゅうるし)を上塗りした『根来塗(ねごろぬり)』という技法と、『紀州蒔地(きしゅうまきじ)』という下地の技法で、石の粉・研の粉(とのこ)を吹き付ける技法がありまして、それをアレンジしてこういう白を表現しています。」
ミラノと万博へ。同時期の挑戦
田口さん:「この春、ミラノデザインウィーク2025に出展させていただいて、弊社はミシュランガイドにも掲載されている懐石料理屋さんで、実際に使ってもらいました。その中で、問題点も出てきたり、逆に思ってもいなかった使い方が出てきたりしたので、そこからブラッシュアップして、この万博で発売を開始しました。」

2025年4月8日から12日までイタリア・ミラノで開催された「Milano Design Week2025」。山家漆器店では、新ブランドの「SHIKI-ORIORI しきおりおり」を発表。現地にある懐石料理「Ristorante HAZAMA」で実際に使用してもらった。
ーー今回、万博に出そうと思ったきっかけは何ですか?
山家さん:「万博に至った経緯は、ちょうどこのミラノの発表と重なって、ちょうどいい時期にお声をかけていただいたんです。弊社では、1000種類以上、いろんな漆器のアイテムを取り扱っていますが、万博に出るってなったときに、いろんなものを持って来て、売るよりは、あえてコンセプトのある「SHIKI-ORIORI しきおりおり」というブランドだけにして、うちの世界観を見てもらおうと思いました。」
ーーミラノにも出展されたということは、海外に売り込みたい気持ちはありますか?
山家さん:「もちろんあります。でも国内でも、先ほどジュエリー作家さんが買ってくださったみたいに、今までとは違うマーケットの需要が、国内にもたくさんあると思うので、あまり国内外問わず受け入れられるように、モダンなデザインというところにフォーカスしました。」
若者が継ぎたいと思える商売を

ーーこういう新しいことをしないと、市場は大きくならないというような漆器業界の課題のようなものはありますか?
山家さん:「今回の商品って、うちの中では、決して安い商品ではないんです。価値をつけてブランディングをしていくことが大事だと思っていて、たくさん儲けたいということではなくて、適正価格で販売して、職人さんにちゃんとした報酬を渡したいんです。今、職人さんがどんどん廃業していっています。儲からないと思うから、息子や娘には継がせたくない。でも、儲かれば継ぐんです。だから、コンセプトを持って、しっかりとした付加価値をつけて売るということをやっていこうとしています。」
ーー我々も取材をしていて思うんです。工夫して作るものだから、もっと値段を上げてもいいのになって。安い方に行かない方がいいのに、どうしても安く売る方に行きたくなるんですよね。
山家さん:「安く売る方が、短期的には売上になりますからね。この先の5年、10年先を考えた場合、今は、種まきの時期くらいの感じですね。正直、今回のプロダクトを作っても、多分歯を食いしばらないといけない時期って絶対あると思っています。でも、それは、他の商品で稼ぐビジネスと、これを切り分けながらやっていきたいと思います。バランスが難しいと思いますけど。」
一流企業の背中を追いかけたい

ーー将来的には、それをどう育てていく感じでしょうか?
山家さん:「山家漆器店は、紀州漆器の端っこにある加工メーカーなんですけど、今回初めて日本工芸産地博覧会に出ることによって、一般の人には、秋田の大館工芸社さんや富山の能作さんのような一流企業と並んで見られているわけですよね。それって、うちとしては凄いことなんです。もちろん、技術やアイテムが伴わなくちゃいけないし、周囲から認めてもらわなくちゃいけないと思いますけどね。」
ーー一流企業と一緒に活動できるのは刺激にもなりますよね。
山家さん:「はい、間違いなく、弊社もそうですし、今回、和歌山から一緒に参加している仲間たちも同じ気持ちだと思います。ここにいる皆さんは、自分の会社だけでなく、産地についても考えている人たちの集まりなので、交流を続けながらチャレンジしていきたいと思います。」
クリエイティブデザイナーの田口さんから、万博会場での様子をまとめた動画をご案内いただきました。山家漆器店の新ブランド「SHIKI-ORIORI しきおりおり」のモデルになっているアルビノインフルエンサーのりり香さんも登場しています。ぜひご覧ください。
YUSUKE TANIGUCHI DESIGN [SHIKI-ORIORI Exhibition at EXPO 2025 OSAKA]
https://www.youtube.com/shorts/P8RgRdl0ll8
株式会社山家漆器店 https://www.prinmail.com/
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ハレの日の染物を日用品に/そめみち染物旗店

最後は、和歌山県中部に位置する御坊市(ごぼうし)に店を構える「そめみち染物旗店」です。創業は1948年。77年(取材時:2025年6月)にわたり、地域の祭礼に使われる獅子舞の幕や法被などを中心とした染物を手掛けてきました。そめみち染物旗店は、和歌山を代表する企業100選にも選ばれています。「どや」コーナーに展示されていたのは、高さ8m、幅1m90cmの巨大な祭礼のぼり。和歌山の日高地方の祭礼文化を表現した作品です。

そめみち染物旗店 代表の染道祥博(そめみち よしひろ)さんです。2020年、3代目として家業を継ぎました。染物の道に入って25年になります。会社のビジョンである「染を、もっと近くに。もっと自由に。手から手へ。」を大切にしながら会社を牽引してきました。染道さんに、新商品のことや、今後の展望などについてお話を伺いました。

手に取りやすい染物の商品を
ーー今回は、どういった商品を出展されたんですか?
染道さん:「元々うちは、和歌山県御坊市で、祭礼商品を作っていまして、獅子舞の幕だとか、法被だとか、地域のお祭りに関わるアイテムをずっと3代染め続けています。こういう小売の商品は、基本的にそんなに多くなくて、普段は、飲食店さんとか、特定の業種の方が買いに来るようなお店なんですけれども、今回、万博に出るにあたって、商品開発をしました。アイテムで言うと、風呂敷と、ハンカチと、ニットバッグ、あとは、和歌山県日高地方で受け継がれてきた、獅子舞柄をモチーフにした染物ファブリックパネルなどです。」

ーー普段はあまり一般の方向けには販売していないんですか?
染道さん:「いや、一般向けにも販売しているんですが、基本的には受注生産で、注文をいただいてから作るビジネススタイルだったんです。でも、少しずつ一般のお客さんにも、こういう染物の世界に触れてほしいという思いで、手に取りやすいような商品を作り始めたところです。」
一期一会を楽しむ「雫染」を提案

染道さん:「最初に取り組んだのは、『雫染(しずくぞめ)』と名付けた大判のハンカチです。ぼかしの技法を使って作っています。」
ーー綺麗ですね。
染道さん:「にじみ方は操作できないんですけど、その一期一会を楽しんでいただく商品として開発をして『雫染』と名付けました。『一滴の雫から始まる世界にひとつの染物語』という物語性も加えました。」

雫は、草木にきらめく露をあらわすことから、大地に恵みをもたらす雨を連想させます。雨は大地に降り、自由な流れとなって河川になっていきます。大きな河川も1滴の雫から始まり、大きな流れとなるのです。本製品は、染料1滴1滴を雫にみたて、生地の上で自由な流れを得て、予測のできない模様を見せてくれます。模様おもしろさ、美しさを感じ、楽しんで頂ける物になっております。同じも模様を生み出すことは不可能で、1滴の雫から始まる世界に1つだけの染物語をお楽しみください。
『一滴の雫から始まる世界にひとつの染物語』より
染道さん:「こちらは、雫染をご祝儀袋にしたものです。ご祝儀袋って捨てちゃうのがもったいないと思うので、これなら、いただいた方がそのままハンカチとして使えますからね。」

憧れの企業と一緒に活動できる貴重な経験

ーー今回万博に出展されたきっかけは何だったんですか?
染道さん:「僕ら(菊井鋏製鉄所・山家漆器店・そめみち染物旗店)、和歌山でものづくりを一緒に頑張ってるグループなんですけれども、チーム和歌山で出ようかっていう話になりまして参加しました。ジャンルは違いますけど、ものづくりで頑張っている同じ世代ですから、全国規模でやれたら面白いねって。それに、元々私はずっと中川政七商店さんのファンなんです。店舗作りもそうですけど、ものづくりを応援する世界観が素晴らしいです。万博で『全国のキングみたいな人たちばかりと同じ場に立てる』というのが奇跡ですね。」
ーー憧れの企業と一緒に参加できるって嬉しいですよね。実際に出展してみて、いかがですか?
染道さん:「いろんな人の意見を直接聞けるのが面白いですね。アイテム一つにしても『もっとこうして欲しい、ああして欲しい』とか、金額も『めっちゃ安いじゃん』っていう人もいますが、『こんなにするの?』っていう人もいます。」
ブランド化への挑戦

ーー関西に出展するのは珍しいんですか?
染道さん:「まず、出展自体、これまではそんなにしていなかったといいますか…。地元で開催された『和歌山ものづくり文化祭』に出展させてもらったり、県内でワークショップにお呼ばれしたり、そんなことはあったんですけれども、県外に出るのは初めてです。」
ーー今後、どんな風に展開していきたいとか、目指したいと思っていることはありますか?
染道さん:「もう少し商品を増やしながら、当店のビジョン『染を、もっと近くに。もっと自由に。手から手へ。』に基づいて、今まで染めや染製品に関わりが少なかった方にも手に取っていただけるアイテムを今後は考えていきたいです。そめみち染物旗店という中でいろんな展開をしていくのか、傘下にして、新たに違うブランドを立ち上げるのか、そういうことも考えながらやっていけたらいいなと思います。」
「雫染」というネーミングにも惹かれ、私も1枚購入してきました。どのぼかしの色合いも素敵で悩みましたが、ピンクと水色の雫染を選択。娘のお弁当包みとして日々活躍中です。

そめみち染物旗店 https://somemichi.com/
【編集後記】
今回ご紹介した「チーム和歌山」は、異業種ではありながら、若手の経営者同士、お互いを高め合える良い関係を築いていて、素敵だなと思いました。憧れの一流企業と一緒に活動できること自体が喜びですし、励みにもなりますよね。さて、お話の中にも出てきた「和歌山ものづくり文化祭2025秋」は、2025年10月18日(土)、19日(日)の二日間、今年も和歌山市で開催されます。今回ご紹介したチーム和歌山の「菊井鋏製作所」「山家漆器店」「そめみち染物旗店」も運営に関わっていらっしゃいます。チーム和歌山のますますのご活躍を期待しております!
さて、日本工芸産地博覧会レポートと題し4回にわたってお送りしてきました。いかがでしたでしょうか?出展していた企業20社のうち、10社についてご紹介させていただきましたが、全てご紹介したくなるほど、素晴らしい日本の伝統工芸を率いる企業ばかりでした。職人としての技術を磨き、ゼロからそれを形にして表現できることが羨ましく思えたくらいです。記事を読んでくださった方が一人でも多く現地に足を運び、「工芸観光」につながることを願っています。
ものづくり新聞 小柴寿美子
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